[メイン] 一条 : その男は秀才であった。勝利の人生を歩み続けていた。

[メイン] 一条 : 学生時代は成績優秀、そして有名大学への進学。
そして大手─────『帝愛』への就職。

[メイン] 一条 : 圧倒的順風満帆な人生。

[メイン] 一条 : 誰からも羨まれるような、輝かしい人生。

[メイン] 一条 : ………が……!当人にとっては、違った。

[メイン] 一条 : 一条は、プライドの塊であった。誰かに見下されることを嫌っていた。

[メイン] 一条 : だからこそ、上に立つための努力は惜しまず……栄光を掴むためなら、泥を啜ってでも……血を這いずり回ってでも、足掻きに足掻き続けてきた。

[メイン] 一条 : そうして掴んだ……帝愛の最高幹部より与えられた、裏カジノの店長の座。

[メイン] 一条 : そこから、一条の成り上がり物語が始まるはずだったっ………!!

[メイン]   :  

[メイン]   : ─────随分と苦しそうじゃねぇか……!あ?

[メイン]   : ─────ど悪魔め……!

[メイン]   : ─────吐き出せ……お前が喰らってきた、破産者の金……

[メイン]   : ─────命……!魂……!希望……!絶望……!!

[メイン]   : ─────その全て……吐き出せ……!!

[メイン]   :  

[メイン] 一条 : やめろ……!!止めてくれ……!!

[メイン] 一条 : 俺が、俺がここまで積み重ねてきたものが……!全て……!!

[メイン] 一条 : ああああああああああああ………!!!

[メイン] 一条 :  

[メイン]   : ─────一条……!!

[メイン]   : ─────戻って来い……お前なら……できる……どこへ行こうとも……!!

[メイン]   : ─────策略……知略に長けた、悪党だろうが……!!

[メイン]   :  

[メイン]   : ─────這い上がって来いっ……!!

[メイン]   :  

[メイン] 一条 : ……ああ……お前なんぞに言われなくとも……俺は……!!

[メイン] 一条 : 這い上がってみせる……!!

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 : そうして一条は、たった一度の敗北により……多額の負債を背負い
そして『地下施設』施設へと送られたのだった。

[メイン] 一条 : 長きにわたる、1050年の……負債。

[メイン] 一条 : ……のはずだった。

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 : 一条が案内されたのは……最高幹部の居室だった。

[メイン] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン] 一条 : 「……わ、私は……『地下』に行くんじゃ……無かったのですか……?」

[メイン]   : 「ああ、その予定だった……だが、『運』が良いな 一条っ……!」

[メイン]   : 「お前には……挽回の『機会』が、たった先程与えられた……!」

[メイン] 一条 : 「機会……?──────────がっ……!?!」

[メイン] 一条 : その瞬間……一条の胸は、ある『矢』によって貫かれた。
常人であれば、即死は免れない……手招く、死神の世界……!

[メイン] 一条 : ……が……!一条は……生きていた……!

[メイン] 一条 : 「……あ……?……あ……??」

[メイン]   : 「ククク……一条、お前はやはり、『運』がいい……」

[メイン]   : 「さて一条……お前に、救済措置を与えてやろう……地下1050年行きの、取り消しのチャンス……!」

[メイン]   : ざわ……ざわ……

[メイン] 一条 : 俺は、ワケが分からなかった……だが、ここで狼狽えても……俺には、選択肢など無い……逃げ出すなど、到底不可っ……!!

[メイン] 一条 : それに……運がいいだと……?
……笑わせる……!!俺は、一度たりとも『運』に頼ったことなど……無い……!!

[メイン] 一条 : 俺はいつだって……俺自身の、実力でのし上がってきたんだ……!
機会が与えられたのだとしたら……俺は……!!

[メイン] 一条 : 「ハァ……!ハァ……!……チャンス、とは……なんで、しょうか……!」
一条は、死に物狂いで、最高幹部の目を見据えた。

[メイン]   : 「─────こいつを探せ……!……もう一つの……『矢』だ……!」

[メイン]   : 一条に差し出された写真、そこへ映る、奇怪な模様の矢……!

[メイン]   : 「会長は、この『矢』に熱心なようで………ククク……」

[メイン]   : 「一条、お前がこれを見つけることに成功した場合……地下送りの一切を免除……!」

[メイン]   : ざわ……ざわ……

[メイン]   : 「……さらには……帝愛の幹部の座を与える……とのことだ……」

[メイン] 一条 : 「っ………!!」

[メイン] 一条 : 俺には、それを断る理由など……一切無かった……!

[メイン] 一条 : ……そうだ、俺は……悪党だ……!どんな手を使ってでも……上へ……上へ……!!登ってみせる……!!

[メイン] 一条 : 「……喜んで御引き受けます……!」
一礼し

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 : こうして、俺の……一条聖也の、新たなる、成り上がり物語が始まったわけだ

[メイン] 一条 : ……見てろよ……カイジ……!俺は……勝ってみせる……そして……今度という今度は……お前を、潰すっ……!!

[メイン] 一条 :
      ギャングスター
必ず俺は……"帝愛幹部"の座を手に入れるっ………!!

[メイン] 一条 : ……『矢』を狙う者は他にいるようだが……関係が無い……!
立ち塞がるなら……全員……俺の敵だ………!!

[メイン] 一条 : ビルの屋上で、地平線の先で昇る朝日を、しっかり目に焼き付け。
一条の─────『奇妙』な物語が始まるのだった。

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ : その"時"が訪れるのは、いつだって唐突だ

[メイン] 各務 チヒロ : DISCの記憶の中で、一つその表現を見つけた

[メイン] 各務 チヒロ : 『引力』

[メイン] 各務 チヒロ : その力は、運命という私には言語化できない変数を伴って奇妙な現実を"引き"起こす

[メイン] 各務 チヒロ : そんな不確かな物を意識してしまうのも、信じてしまうのも

[メイン] 各務 チヒロ : 全ては、私の目の前に浮かぶ事実がもたらす納得だ

[メイン] マンハッタントランスファー : ┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨……

[メイン] マンハッタントランスファー : 一切の動力、一切の干渉なく空に浮かぶ衛星のようなソレ

[メイン] 各務 チヒロ : 不可解なそれを、手で触れようとしても

[メイン] マンハッタントランスファー : するりと、透けるように触れる事は無い

[メイン] 各務 チヒロ : …それだけなら、怪現象か或いは何らかの技術だ

[メイン] 各務 チヒロ : だが、私の頭に突き刺さるように食い込むDISCが痕も残さず入り切った時

[メイン] 各務 チヒロ : ソレは見えた

[メイン] 各務 チヒロ : 「…スタンド」

[メイン] 各務 チヒロ : 盲目の男が"見た"世界と

[メイン] 各務 チヒロ : そして

[メイン] 各務 チヒロ : 「マンハッタントランスファー、か」

[メイン] 各務 チヒロ : 得てしまった力の名前を呟いたとき

[メイン] 各務 チヒロ : …密かに、引力を信じたのだった

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ : 記録.11参照

[メイン] 各務 チヒロ : その名は『聖なる弓矢』

[メイン] 各務 チヒロ : 力の正体を探る過程で、私は知り

[メイン] 各務 チヒロ : そして、戦慄した

[メイン] 各務 チヒロ : …私の力は、憎しみを下地に生まれていた

[メイン] 各務 チヒロ : そして、その憎しみの根源

[メイン] 各務 チヒロ : 運命の収束点を加担した一ピースが『矢』だ

[メイン] 各務 チヒロ : 「…なら、ここに合っていいモノじゃない」

[メイン] 各務 チヒロ : 風が揺らぐ、夜の街に吹きすさぶ

[メイン] 各務 チヒロ : ふと空に流れたスタンドを見上げて

[メイン] 各務 チヒロ : その先に星を見つけた

[メイン] 各務 チヒロ : 「…星か」

[メイン] 各務 チヒロ : 男の記憶と、星の因縁、そしてその末路

[メイン] 各務 チヒロ : それらを加算しようと、多分

[メイン] 各務 チヒロ : 知ったその時から、私は引力に逆らえる事は無い

[メイン] 各務 チヒロ : 例え、視界以外の全てで

[メイン] 各務 チヒロ : その終わりを計算できたとしても

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……ここか」

[メイン] レイア・ダラーヒム : ディスク……とでも呼称すべきあの円盤
それを頭に入れた途端、現れた影

[メイン] レイア・ダラーヒム : まるで当たり前のように、ワタシの隣に立っていた

[メイン] レイア・ダラーヒム : その異様を“マスター”……
ワタシの製作者へと問いかけてみれば…

[メイン] レイア・ダラーヒム : 見えぬという

[メイン] レイア・ダラーヒム : 聞こえぬという

[メイン] レイア・ダラーヒム : よって調整を願い出たのだが…異常はなし

[メイン] レイア・ダラーヒム : そこから先も奇妙すぎることが続いている

[メイン] レイア・ダラーヒム : いわく、頭部を何度組み直しても見つからない例のディスク

[メイン] レイア・ダラーヒム : いわく、ディスクを付けた瞬間に流れ出した回想、それさえワタシには記録されていない事実

[メイン] レイア・ダラーヒム : いわく、何の接点もない者たちが似たような経験をして“ある街”に集まる事実

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「…調べなければならないだろうな、真実とやらを」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 命題の一時休止に伴う自由期間
それまでにこの事態の秘密を解き明かさなくては

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……しかし、妙な気分になるな」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 隣に立つ“影”
それを見つめながらボソリと呟く

[メイン] キラークイーン : ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

[メイン] レイア・ダラーヒム : 名を、“三つ”拝借して、その名を呼ぶ

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「スタンド、そしてキラークイーン」
ワタシが出会ったこの奇妙な存在は何なのだ?

[メイン] レイア・ダラーヒム : 何かの予兆なのか、それとも…

[メイン] レイア・ダラーヒム : ワタシを”変える“好機なのだろうか?

[メイン] レイア・ダラーヒム : 立ち止まり、地面を見つめ
歩道に覆われ尽くした都会で、残り僅かな土を見る

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……つちくれのワタシが、変わる時なのか?」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 新たな物への期待は膨らみ
不安の影は付き纏い
かくして運命への旅路が決まる

[メイン] レイア・ダラーヒム : どのような果てにしろ、前へ進んだ結果なら
悔いを抱くことはしないようにしよう

[メイン] レイア・ダラーヒム : 思い直し、今度は思い切り走り出す

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「この街に如何なる物があるかは知らんが……」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「派手に決めるッ!」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 勢いを付けて闇夜へと人形は跳ねる
新たな地平への跳躍を夢見て

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも : ひゅう、と風が吹く。

[メイン] 緑へも : 駅前に立つ一人の少女。
彼女は寒風に吹かれても目にハートを浮かべ。
何をするでもなく立っていた。

[メイン] 緑へも : では、その目の奥は何を見ているか。

[メイン] 緑へも : …………。

[メイン] 緑へも : イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩イノ先輩

[メイン] 緑へも : ………はわぁっ。

[メイン] 緑へも : ついついボーっとしちゃうとイノ先輩の事だけ考えちゃいます。

[メイン] 緑へも : アイドルグループ「フルーツタルト」の一人、緑へも。

[メイン] 緑へも : その先輩に憧れを抱く少女は、なぜこの街に立っているのか。

[メイン] 緑へも : それは一つの理由からだった────

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも : ────身を貫く感覚、焼け焦がすようなその痛み。

[メイン] 緑へも : 影しか見えない、何者かによって体が”矢”に刺された。

[メイン]   : 「お前がこの苦しみを乗り越え」

[メイン]   : 「お前が”力”を求めるなら」

[メイン]   : 「”矢”を」

[メイン]   : 「探せ」

[メイン]   : 「手にしろ」

[メイン] 緑へも : 緑へもが覚えていたのは、血の滴る矢を持つ”影”と。

[メイン] 緑へも : その、断片的な言葉のみだった。

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも : それから数日後。
地獄の苦しみかと思えたけれどイノ先輩への思いで乗り切って。

[メイン] ラバーズ : 『マギィーッ!』

[メイン] 緑へも : ────私には”何か”が宿っていた。

[メイン] 緑へも : それはごく小さなもの、でも確かに”いる”。

[メイン] 緑へも : 力はなじむ。
不思議とどうあるべきか、理解していく。

[メイン] 緑へも : 言葉が想起される。

[メイン] 緑へも : ────「”力”を求めるなら」

[メイン] 緑へも : ふふふ。

[メイン] 緑へも : 私は、イノ先輩のためにもっと強くなるんです。

[メイン] 緑へも : こんな自分じゃなくて、それ以上の自分になって見てもらうんです。

[メイン] 緑へも :
    アイドル             グループ
それが”自分の道”を突き進もうとする、同じ仲間としてのせめてものお返し。

[メイン] 緑へも :
         スティーリー 
だからこそ、この『鋼入りの愛』で

[メイン] 緑へも : 私よりも────”最弱”を越える力を手にしてみせましょう。

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン]   :  

[メイン]   : ───視線。
それは私の身体を貫き、金縛りのように身動きを取れなくする。

[メイン]   : ───殺意。
それは着実に、歩を運んでくる。

[メイン]   : そして、それはとうとう牙を剥きだし。
───死。

[メイン]   :  

[メイン]   : 『サ…サバ缶!』

『また食べに来るだろうと思って実は大量に買い置きしてあるんです!』

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : その声が、突如電流のように迸り。
───私はその悪夢から目を覚ます。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 「……あーあ、寝覚めが悪いってわけよ」

ぬいぐるみの山をベッド代わりに
いつのまにか、私は眠っていた……。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 目をこすって、うん、と伸びをすれば
生理的に涙を浮かべた。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 何が恐ろしいって、妙に『リアリティ』があるというか……
───身に覚えがあるような悪夢なのよねぇ。
最後に響く声だけが、悪夢ではないけれど。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : さぁーて、と……
携帯を開けば、ちょうど動くには頃合いの時間。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 組織が私に与えた目的は、『聖なる矢』と呼ばれる物を手にする事。
古代エジプトの遺物だとか……。
その本数は「六本」確認されている。けれどほとんどがすでに何者かの手に渡っている、ってわけよ。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : ただ、今回の矢は完全なフリー。
それどころか、その矢は「スカラベ」を模った意匠が、矢じりに存在するらしい。
妙に───特別感が満載ってわけよ。だから、どうしたってわけだけど。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 「まっ、さっさと『回収』して
 鯖缶一生分目指すってわけよ~♪ ギャ~ラ全っ額♪ ギャ~ラ全っ額♪」

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : この町にあるかは定かではない、けれど。
それくらい期待を膨らませて鼓舞した方が、やりがいがあるってわけよ───。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : そして、指を軽快に弾けば。
山のように積んであったぬいぐるみは、全て音を立てる事なく───『紙』となる。

[メイン] エニグマ :  

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : その刹那、私の傍に佇んだエネルギー像。
これは『スタンド』……立ち向かうものだとか、傍に立つものとか、語源は不明だけれど
これそのものは、聖なる矢に付着したウイルスが由来とされている、ってわけよ。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 『スタンド』は、いわば“精神の発露”。
だから───このスタンドは、私の精神が物理的に擬人化した物。

って、わけじゃないってわけよ。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : ───まったくもって

 エニグマ
「 謎 」

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 気づけば、私はこのスタンドを手にしていたってわけよ。
心当たりが一つあるとすれば……。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : ある任務で、目ぼしい貸出禁止の本を図書館から『回収』なんていう
つまらない任務で、エニグマの本とやらを持ち出した帰り。

[メイン]   :  

[メイン]   : 『地震』

[メイン]   :  

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : ───まるで呪いを浴びるかのように、土砂崩れに巻き込まれた後。
本が消え去り、気づけばこのエネルギー像が傍につっ立ってた事。
そして瞬間、私は『能力』に目覚めていた、ってわけよ。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : そう、こんな風に。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン : 対象を、紙にして封印する能力───。
チンケな能力? 物は使いようってわけよ。さぁーて、と……任務開始ってわけよ。

[メイン] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン] フレンダ=セイヴェルン :  

[メイン] マホロア :  

[メイン] マホロア :  

[メイン] マホロア : ボクはマホロア。
ナンのチカラもモたないヒリキなソンザイ。

[メイン] マホロア : そんなボクだけどやらなきゃならないコトはあるんだヨォ

[メイン] マホロア : トツゼン、ゲンインフメイのビョウキにかかっちゃったトモダチ。
ボクはカレをタスケたいんだ。

[メイン] マホロア : テガカリはミつけタ。
あの"矢"がアれバ、ボクはトモダチをスクえる。そうオシえテもらったンダ。

[メイン] マホロア : ナンにモできないかもしれないヨォ…でも、アキラメるのだけはイヤだから。
ボクは、"タチムカウ"んだ。

[メイン] マホロア :  

[メイン] マホロア :  

[メイン] モネ :

[メイン] モネ :

[メイン] モネ : ━━それが、自身に課せられた使命だから。
それ以上の感情も、それ以下の感情もない。

[メイン] モネ : 闇の街に降り立つ、ひとつの影。

[メイン] モネ : ぱさり。

[メイン] モネ : 小さく埃が舞う。

[メイン] モネ : 「……はぁ」

[メイン] モネ : 吐いた息が白く濁る。

[メイン] モネ : 「……曰く」

[メイン] モネ : 「『人造悪魔の実』のように、能力を持つものを量産するような代物……ね」

[メイン] モネ : 昏く染まる空にぽつりと浮かぶ月。

[メイン] モネ : 「任務は奪還。……最低でも、破壊」

[メイン] モネ : そう、静かに復唱する。

[メイン] モネ : 噂の真偽までは定かではないが……もし。
若様の地位を脅かす可能性が万に一つでもあるのであれば。

[メイン] モネ : (……なんて、余計なことを考えて足元を掬われているようでは面目も立たないわね)

[メイン] モネ : くすくす。

[メイン] モネ : 囀るような笑い声が響く。

[メイン] モネ : その目的……あくまで、任務の遂行。

[メイン] モネ : たとえ格上であろうが……邪魔な枝葉は刈り取らなければならない。

[メイン] モネ : 「……」

[メイン] モネ : ━━もちろん、"それ"の存在をただ知る運命の者……含め。

[メイン] モネ : 強者への媚び、弱者への情けは存在しない。
在るのはただ、勝敗……その結果のみ。

[メイン] モネ : 全ては━━主人の為に。

[メイン] モネ :

[メイン] モネ : 「……今夜は冷えそうね」

[メイン] モネ :

[メイン] モネ :

[メイン] ディアちゃん :  

[メイン] ディアちゃん :  

[メイン] ディアちゃん : わたしはでぃあ!
ていおーになるのがゆめ!

[メイン] ディアちゃん : でも…ぶかの人たちが…じゃましにくるらしい…

[メイン] ディアちゃん : ころさなきゃ!

[メイン] ディアちゃん : 間違えた…たおさなきゃね!

[メイン] ディアちゃん :  

[メイン] ディアちゃん :  

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「それは『本当』ですか?」

[メイン] ??? :
     マジ
「ああ、『本当』だぜジョルノ」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : ボスを倒してから、数ヶ月。
僕は、パッショーネのボスとしてその毎日を過ごしていた。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「キング・クリムゾンが、まだこの世界に『在る』というんですか、ミスタ」

[メイン] ??? : 「それだけじゃねェ、そのある街には他のスタンド使いも多く集まってるらしくてよォ〜」

[メイン] ??? : 「『ある』んだってよ、『矢』が」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……ッ!」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 『弓と矢』の『矢』。
まだフリーなものがこの世界に存在するというのかッ!

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : いや、『フリー』ならばまだマシだ……

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : キング・クリムゾンの存在。
そしてその近くに『矢』……

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 考えられる最悪の可能性は……

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : ボスが死のループの中何かの弾みで『矢』を手に入れて『レクイエム』に到達してしまったッ!

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 同じ『レクイエム』に到達したスタンドならば、僕のレクイエムの能力も絶対のものとは言えなくなっているかもしれないッ!
そう、『分からない』んだッ!

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……分かりました」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「僕が行きますッ!『矢』の回収は僕がッ!」

[メイン] ??? : 「オイオイオイ正気かよォ〜!?お前は今ボスで……」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「この任務。誰かに『任せる』事は出来ないッ!」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 僕は無理を言って組織をポルナレフさんとミスタに任せ、ジェットを取ってウワサの街へと向かった。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 『キング・クリムゾン』。
もし本当にボスが……「ディアボロ」が戻って来たのなら。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 僕が『因縁』を断たねばならないッ!

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : ジョジョの奇妙な冒険 第5部
【ゴールデン・テーブル】

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ : 情報は少ない

[メイン] 各務 チヒロ : 『矢』は、そう易々と見つかるとは思えない…が

[メイン] 各務 チヒロ : 一つ、懸念があった

[メイン] 各務 チヒロ : なにか、おかしな気配が点在している事

[メイン] 各務 チヒロ : …矢を目指す人間が、集まっている可能性はある

[メイン] 各務 チヒロ : 「…とはいえ、そこまでスピリチュアルな感覚は測りかねるけどねっと」

[メイン] 各務 チヒロ : なんて、呟きながら街を歩いていると

[メイン] 各務 チヒロ : …ふと

[メイン] 各務 チヒロ : ネットで見たことがあるような

[メイン] 各務 チヒロ : いや、見間違いかもしれない…そんな曖昧な既視感を纏った人影があった

[メイン] 緑へも : その人物は鞄片手に、チヒロの反対からやってきていたが。

[メイン] 緑へも : 「あ、こんにちは!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…?あ、どうも」

[メイン] 緑へも : チヒロの眼前、そこでぴたりと止まり。
お辞儀。

[メイン] 各務 チヒロ : 声を掛けられた、少し動揺した…

[メイン] 各務 チヒロ : 「ええと、変な言い方だけど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「知り合いだっけ…?」
少なくともこんなに丁寧に挨拶される仲か、思い出せない

[メイン] 緑へも : 「ああ、えっと」

[メイン] 緑へも : 「ここの街に来て、初めての人だったので挨拶をばと~」
訝しげに見つめる彼女に、にこりと笑って。

[メイン] 各務 チヒロ : 「あ~…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「悪いけど、夜だから一旦宿を先に探したほうが良いよ」

[メイン]   : ふと、そんなチヒロの耳に。

[メイン] 各務 チヒロ : 「カプセルホテルとか、ね」

[メイン]   : ────『違和感』のような、何か。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…?」

[メイン] 各務 チヒロ : 軽く、耳に手を当てる

[メイン] 各務 チヒロ : …可笑しいな、少なくとも

[メイン] 緑へも : 「ははぁ…お優しい方なんですね!」
もう、夜の帳も降りそうになっている所だから。

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーは、何も埃ほどしか…感知してないけど

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ん、まぁ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「夜の街に一人は色々不用心だよ」

[メイン] 緑へも : また礼儀正しくぺこぺこと。
そして。

[メイン] 緑へも : 「不用心…それはそうですね!……では、その…お優しいあなたに二つだけ、質問をよろしいでしょうか?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ん?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いいよ?」

[メイン] 緑へも : 当たり前だが、夜で女一人は危ない。
ぽんと、手を叩きつつ。

[メイン] 各務 チヒロ : …手に、一瞬の違和感

[メイン] 緑へも : 「一つは私は緑へも、といって…あなたの名前を聞かせていただきたいんです!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「あ~」

[メイン] 各務 チヒロ : 「各務チヒロ、だよ」

[メイン] 緑へも : にこにこ、と変わらずの笑顔。

[メイン] 緑へも : …しかし、チヒロが何か”違和感”を感じ取った様子を見て。

[メイン] 緑へも : 目を、細め。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…どうかした?」

[メイン] 緑へも : 「チヒロさんですか。ああ…いえいえ、もしかしたら、”縁”があるかもと思いまして」

[メイン] 緑へも : 指を一本立て。

[メイン] 緑へも : 「────”矢”について、知ってますかぁ?」

[メイン] 緑へも : にこり、と笑った。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 顔を顰める

[メイン] 緑へも : ……さっき、”私の”を彼女に入れておいた。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…矢?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「生憎だけど、弓道とかには疎いかな」

[メイン] 緑へも : 私のは、ごく小さなもの。
それに違和感を覚えるなんて、中々……。

[メイン] 緑へも : 「ふふ、汗が顔に出てますよ?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : …違いない

[メイン] 各務 チヒロ : この子は、明らかに

[メイン] 各務 チヒロ : "同じ"だ

[メイン] 緑へも : にこにこ。狂気すら覚えるような、笑顔。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…生憎だけど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私だってほとんど知らないし、教える気もない」

[メイン] 緑へも : 「……ははあ」

[メイン] 緑へも : 「あなたも、”矢”を求めようとしているんですね?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私には"必要"は無いけどもね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いいや…なんなら、この場所にとって不要」

[メイン] 緑へも : 不要、ですか。
……相反してますね、きっと…あの力は、私にとって……

[メイン] 緑へも : 「…では、意見が早速対立してしまいますね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…貴女みたいな子にだって、何の必要があるのか」

[メイン] 緑へも : そしてゆったりと。
鞄から包まれた”何か”を取り出しつつ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…?」

[メイン] 緑へも : 「”力”、ですよ。あなたは欲しくないんです?」

[メイン] 緑へも : ────それは、”ナイフ”。

[メイン] 各務 チヒロ : 「有り余る力は身を滅ぼす、簡単だよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…それは」

[メイン] 各務 チヒロ : …まさか、刺す気?

[メイン] 各務 チヒロ : ぐっと、距離を開ける

[メイン] 緑へも : 言葉を交わしつつ、おもむろに取りかざし────

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも : ────”自ら”へと、刺す。

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「何をしてるんだッ!?」
想定外だ、そんな自分を傷つけ───

[メイン] 緑へも : 「ッ……有り余る力でも、足りないよりはだいぶ、だいぶ…マシ、です」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…な?」

[メイン] : ────それと同刻。

[メイン]   : へもが刺した左腕。

[メイン]   : 同じ部位、チヒロに。
何倍も大きな刃物で突き刺された感覚が襲う。

[メイン] 緑へも : 「────何って」

[メイン] 緑へも : 「攻撃、です」

[メイン] 各務 チヒロ : 「これ、は…ッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 左腕が焼けるような熱さと、激痛

[メイン] 緑へも : 左腕、だらだらと血が垂れ流される。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…いや、これ、は」

[メイン] 各務 チヒロ : 目測、分析…間違いない

[メイン] 緑へも : 「ッ…ぁ…『戦いはすでに始まっている』なんて」

[メイン] 各務 チヒロ : 同時に"傷"がついた…!?

[メイン] 緑へも : 背中に伝う冷や汗を感じながら、チヒロについて傷を見────

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ…ぐ」

[メイン] 緑へも : にやり、と笑った。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…本当は嫌だけど…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「検証させてもらうッ!」

[メイン] 緑へも : 「………!」

[メイン] 各務 チヒロ : 一気に前に出て、一発拳を腹に叩き込めば

[メイン] 各務 チヒロ : ドゴオッ

[メイン] 緑へも : 「ぐ、うううッッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「がッ…」
冷汗が伝う

[メイン] 緑へも : 腹部に、痛み。

[メイン]   : そして、その痛みを膨らませたものが、チヒロへ。

[メイン] 緑へも : 「……痛い、ですが……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ああ、クソ」

[メイン] 緑へも : 「…”愛”を思えば、へっちゃらですよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そういう能力か…!」

[メイン] 緑へも : 「ええ、あたりです…!」

[メイン] 各務 チヒロ : よろめき、後退

[メイン] 各務 チヒロ : 「…相性が悪い、どうやって発動したんだ…?」

[メイン] 各務 チヒロ : 上空から気流を読むトランスファーは

[メイン] 各務 チヒロ : 全く異常を検知していない

[メイン] 緑へも : 「私の”ラバーズ”は……私が受けたダメージを、あなたに…何倍にも倍増させて、お返ししちゃいます」

[メイン] 緑へも : 「それは、ですねえ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 緑へも : 耳元を、ぽんぽんと叩く。

[メイン] 緑へも : 「ちっちゃい子なので、近づいた時に…ひょいっと」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : さっきの埃…いや

[メイン] 各務 チヒロ : アレがスタンドだったのか…!

[メイン] 各務 チヒロ : 「…趣味の悪いスタンドだ」

[メイン] 緑へも : もう”術中”にはめたとはいえ……
先ほど、気づいていた素振りを見せていたのは、警戒ですね。

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも、いや」

[メイン] 各務 チヒロ : 「一瞬、誤差に近いけど」

[メイン] 緑へも : 「ふふ、でも…繋がっていられるなんて、素敵じゃないですか?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタへのダメージから私に伝播するにはラグがある」

[メイン] 緑へも : 「……」
む、と顔をチヒロへ向ける。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…即死までは伝わる、かな?」

[メイン] 各務 チヒロ : 鞄を蹴り上げると

[メイン] 各務 チヒロ : 一丁の自動小銃が飛び出す

[メイン] 緑へも : ……ラグ…
しまった、ラバーズの弱点を…見抜かれた!

[メイン] 緑へも : 「……ッ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…とはいえ」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「殺せるかは、わからないし」

[メイン] 各務 チヒロ : 「恐らく、即死しなければこっちが即死、か」

[メイン] 各務 チヒロ : …なにより

[メイン] 緑へも : 「それに……」

[メイン] 各務 チヒロ : 殺すのは躊躇う、間違いなく私が

[メイン] 緑へも : 「あなたは、私を……”人”を、殺せますか?」

[メイン] 緑へも : 手を、広げ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 緑へも : 「罪を背負っても、信念を貫く”意思”が?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…さぁね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「もし今探すとするのなら…」

[メイン] 緑へも : しかし、ここは”日本”。
だというのに現れたその銃に、汗も流れつつ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタの能力の"射程外"、かな」

[メイン] 各務 チヒロ : 銃を鞄に投げ込み、一気に背を向けて距離を取り始める

[メイン] 緑へも : 「残念ですが…無駄なんです」

[メイン] 各務 チヒロ : 正直言って、取れる手じゃ悪手だが…

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 緑へも : ぴた、と手を上げる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「無駄、ね」

[メイン] 緑へも : 「私のは、力も小さく…体も極小」

[メイン] 緑へも : 「しかし、それは天秤のように釣り合う物」

[メイン] 緑へも : いつの間にか持ち出した、スタンガン片手に

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ」

[メイン] 各務 チヒロ : そうか、成程

[メイン] 各務 チヒロ : こっちと同じ、ね

[メイン] 緑へも : 「────数百キロ先だって、私たちは”赤い糸”で結ばれているんです」

[メイン] 各務 チヒロ : 逃亡をやめて

[メイン] 各務 チヒロ : 一瞬、ダメージに身構える

[メイン] 緑へも : ばちり、と電気を立てて。
目を瞑り。左腕へと押し当てる。

[メイン]   : チヒロの腕に、体を走る電流の痛み。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ぐッおああああああッ!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 左腕がスパークして、煙を上げる

[メイン] 各務 チヒロ : スタンガンは本来、成人男性であれば気絶もままならない程の電圧しかない、だが

[メイン] 各務 チヒロ : 何倍にもその威力を引き揚げるのならば、その電圧は違法改造した物と相違ない

[メイン] 緑へも : 「ッ゛、ぅ…ふふふ」
麻痺するような、痛み。

[メイン] 緑へも : ”あの人”のことを思えば、耐えられます。

[メイン] 各務 チヒロ : 「くっ、うおおおおおッ」

[メイン] 各務 チヒロ : でも、幸運なのは

[メイン] 緑へも : 「……」
悲鳴を上げる様を見て。

[メイン] 各務 チヒロ : その電圧は左腕に集中しているからこそ

[メイン] 各務 チヒロ : 次の手の為に、前進は可能

[メイン] 緑へも : 「痛いですよね、なら……降参でも、してもらって構いませんよ?」

[メイン] 緑へも : そう、余裕の態度で────

[メイン] 各務 チヒロ : 「…いや」

[メイン] 各務 チヒロ : 「なら、次の手を選ばせてもらう!」

[メイン] 緑へも : 「……何ッ」

[メイン] 各務 チヒロ : 無理やり、へもを取り押さえにかかる

[メイン] 緑へも : 「…もう王手、”詰み”のはず……ッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 何分、此方は銃を扱っている以上

[メイン] 各務 チヒロ : 成人男性相手でも、力負けはしない

[メイン] 緑へも : そのまま、抵抗虚しく取り押さえられる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…捕まるだけなら、何倍にしたって対して痛くは無いしね…!」

[メイン] 緑へも : それに対して、こちらはアイドル。
本体の体の強さは、非力に近い。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…正直嫌な手段だけど、でもわかった」

[メイン] 緑へも : 「…ッ、そうかもしれませんが…だから、何だというんです」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ダメージなら、確かに返せる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ならほかでやる、準備は要るけど…ね!」

[メイン] 緑へも : チヒロの…何かを確信したような目に、汗がたらりと。

[メイン] 各務 チヒロ : ぐっと、引きずる

[メイン] 緑へも : 「…他…?ッ、ぐぐ」

[メイン] 各務 チヒロ : 目的は、人気のない地下道

[メイン]   : 痛みはないが、引きずられる感覚がチヒロへと返りつつ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「縁で繋がってるんなら…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「付き合ってもらうよ、緑へも」

[メイン] 緑へも : 「…ッ」

[メイン] 緑へも : 「…な、に……を、考えてるんです」

[メイン] 各務 チヒロ : そのまま、地下道の出口に陣取って、へもを解放する

[メイン] 各務 チヒロ : 「そんなもん、簡単だ」

[メイン] 緑へも : ごく、と唾を飲み。
そのまま、突き放される。

[メイン] 各務 チヒロ : 鞄を漁って、一つ道具を取り出す

[メイン] 緑へも : 身動きは取れるが、それでも体が動かない。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…例えば」

[メイン] 緑へも : ……まさか、この人の精神に、圧倒されている…?私が…?

[メイン] 緑へも : 「……」
ちら、とその道具に目を向ける。

[メイン] 各務 チヒロ : 「意識を失ったり、即死したらこのダメージは起こせないなら」

[メイン] 緑へも : ……ありえない、私の”愛”は誰にも…負けやしない。

[メイン] 各務 チヒロ : 「能力の操作が可能じゃなくなる場合、アンタのフィードバックも自動で起こせないのは分かりやすかった」

[メイン] 各務 チヒロ : 「少なくとも、激しい痛みは気合いで耐えてるだろうけど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「そうじゃないダメージは、どうかな」

[メイン] 緑へも : 「くッ……」

[メイン] 各務 チヒロ : へもの後ろに、一つ物を投げると

[メイン] 各務 チヒロ : プシュー、と

[メイン] 各務 チヒロ : ガスが噴き出し始める

[メイン] 緑へも : チヒロの言う通り、気合。
へもへと帰るダメージは、0ではないわけで。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…"睡眠ガス"」

[メイン] 緑へも : 「催眠…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「直接的に意識を喪失するのなら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「スタンドの操作だってする余裕はない、と」

[メイン] 各務 チヒロ : 「今から結論付けさせてもらう」

[メイン] 緑へも : 「なんで、そんな物…!」
汗が増え、焦りが見え始める。

[メイン] 各務 チヒロ : そして

[メイン] 各務 チヒロ : 「まぁ、アンタの気合も考えたら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「眠気ぐらい、私より抗うかもしれない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「だから、こっちは回避させてもらう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…『マンハッタントランスファー』」

[メイン] 緑へも : どうにか動こうと、近くに武器を探そうとして────

[メイン] マンハッタントランスファー : 二人の居る地下空間に

[メイン] 緑へも : 「…なっ」

[メイン] マンハッタントランスファー : ふわりと浮かぶ"衛星"が出現する

[メイン] 緑へも : ふわり、と。
迫る睡魔の手とは別に、”力”。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」
拳銃を構えて

[メイン] 各務 チヒロ : 発砲音が鳴り響くと

[メイン] 緑へも : 「…あなたも、力を……」

[メイン] 緑へも : 「きゃっ…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : それはへもではなく、トランスファーに向かい

[メイン] 緑へも : ばぁん、と響いた音は────
届かない。

[メイン] 各務 チヒロ : その弾道は勢いを殺すことなくルートを変えて

[メイン] 緑へも : 「………!?」

[メイン] 各務 チヒロ : へもの鞄だけを打ちぬく

[メイン] 各務 チヒロ : 「道具は無しだよ、アイドルが傷を付けちゃ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私の責任だしね」
ふうと、息を吐いて

[メイン] 緑へも : 鞄は、打ち抜かれ。
そこに入っていた様々なものが、下水道へとぶちまけられ。
流れていく。

[メイン] 各務 チヒロ : …後は、待つだけだ

[メイン] 緑へも : 「そん、な…!」

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーがガスの軌道を"見ている"

[メイン] 各務 チヒロ : 「ゆっくりお休み」

[メイン] 緑へも : 流れるように描かれた銃弾が描いた、彼女の勝利の道。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…もう星の出る夜、だからね」

[メイン] 緑へも : 「……ッ」

[メイン] 緑へも : 背中から追う、もう眠気もまばらに。

[メイン] 各務 チヒロ : 構えて、出口を塞ぐ

[メイン] 緑へも : ぱちぱちと、けれどその睡魔は抑えられない。

[メイン] 緑へも : 「……チヒロ、さん」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…何?」

[メイン] 各務 チヒロ : ひょいと、ガスを躱すようにステップを踏みつつ

[メイン] 緑へも : ……この、彼女の”意志”は……わたしには、叶わない。

[メイン] 緑へも : なら………。

[メイン] 緑へも : 「あな、たの……勝利へっ、の軌道は、素晴らしい、ものでした」

[メイン] 緑へも : 「でも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でも」

[メイン] 緑へも : 下水道へと、顔を突っ込む。

[メイン] 緑へも : ────自らの息を止めるために。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ」

[メイン] 緑へも : 「我慢比べ、です」

[メイン] 各務 チヒロ : 「くッ、あ」

[メイン] 各務 チヒロ : 喉が、閉まる

[メイン] 緑へも : 声は消え、ざぶざぶと。

[メイン] 緑へも : もう……勝てない自分など、必要ない。

[メイン] 各務 チヒロ : 呼吸が、できない

[メイン] 緑へも : ……なら、もう、捨て鉢に……。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ば、か!」

[メイン] 各務 チヒロ : 目の前では自殺未遂、こちらも息が止まる

[メイン]   : ふと。

[メイン]   : その苦しみが、消える。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ!?」

[メイン]   : まるで”縁”を切るように。

[メイン] 各務 チヒロ : 「っ、はあッ…!?」

[メイン]   : ふつり、消えた。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…まさか、いや」

[メイン] 各務 チヒロ : 「なんで…"解除"した!?」

[メイン] 各務 チヒロ : そう問いながら、一気に駆け出す

[メイン] 緑へも : 少女は────まだ、生きている。

[メイン] 緑へも : その駆け出す彼女にも、応じず。
ただ、水の中で顔は上がらない。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああッもう!」

[メイン] 各務 チヒロ : もう一度、息を吸い

[メイン] 各務 チヒロ : 止めて

[メイン] 各務 チヒロ : ガスの中を突っ切って、へもの元へ

[メイン] 各務 チヒロ : そのまま、背を引っ張り

[メイン] 各務 チヒロ : 水の中から顔を出させる

[メイン] 緑へも : 「────ぶはっ…!!」

[メイン] 緑へも : げほげほ、生理的に思わず反射でせき込む。

[メイン] 緑へも : 「……な、んで…助け、たんですか……」

[メイン] 各務 チヒロ :

[メイン] 各務 チヒロ : ぷはあ、息を吐いて

[メイン] 各務 チヒロ : 「殺す気も、意味もないからに決まってるでしょ!」

[メイン] 緑へも : 開口一番、出た言葉はそれで。

[メイン] 緑へも : 「だって、私は…あなたを、傷つけたじゃないですか…!それでも、ですか…?」

[メイン] 緑へも : 「悪人は、死ぬべきでしょう……」
使い物にならない”自分”も、また。

[メイン] 各務 チヒロ : 「何言ってんだか…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「そこで道ずれすらしないくせに、悪も何も…無いでしょうが」

[メイン] 各務 チヒロ : 今度は、フィードバックもない、が

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 結局、きつく組み伏せるでもなく

[メイン] 各務 チヒロ : そのまんま、掴んだ姿勢でぶっ倒れる

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「捨て鉢で、死のうとする奴には」

[メイン] 各務 チヒロ : 「悪とか正義とか、言ってやる意味は無いの」

[メイン] 緑へも : 「...ぶ、へっ......」
のしかかられるが、それでも……"力"は使わずに。

[メイン] 緑へも : 「……な……」

[メイン] 緑へも : …ただ、そこから声が出なかった。

[メイン] 緑へも : それでも...傷つけた相手なのは変わりない。
あわよくば、殺しにもしたかもしれない相手に向けて...こんな、事をいってくれる、なんて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そもそも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「そっちだって殺す気も、無かったんでしょうしね」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : ぐったり、隣に倒れる

[メイン] 各務 チヒロ : さすがに、もう体力が持たない

[メイン] 各務 チヒロ : さっきのダメージと、もろに受けてるガス

[メイン] 緑へも : 「それは……」
思わず、"ラバーズ"を思いうかべ、最後..."解除"したことを思い出し。

[メイン] 各務 チヒロ : 視界の端でマンハッタントランスファーが、薄っすらと消えていく

[メイン] 各務 チヒロ : 「…もう、私、気絶するっぽい、から…」
視界が霞む、倦怠感に包まれる

[メイン] 緑へも : 「…...っ」

[メイン] 緑へも : そんなチヒロを...肩を持つ。
片手には、ハンカチでガスを吸い込まないように。

[メイン] 緑へも : 力はない、だからゆっくり。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : まったく…

[メイン] 緑へも : それでも……ガスの圏外へと、必死に、這いずる。

[メイン] 各務 チヒロ : どうして、こう

[メイン] 緑へも : ……私の信念よりも強い、その"意志"の人。
なら、こんな所で......苦しませちゃ...ダメ、ですね...

[メイン] 各務 チヒロ : 世話の掛かる相手が、多いんだか

[メイン] 各務 チヒロ : ガリ

[メイン] 各務 チヒロ : 舌を噛んで、意識を惹き戻し

[メイン] 各務 チヒロ : 「…さっさと、出るよ…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 鉄の味を嚙み締めつつ

[メイン] 各務 チヒロ : そのまま地下の出口を、気合いで

[メイン] 各務 チヒロ : 歩いて行くのだった

[メイン] 緑へも : そんな、力強く踏みしめる彼女に。

[メイン] 緑へも : ふと。

[メイン] 緑へも : ────『奇妙な縁』を覚えて。

[メイン] 緑へも : ただ、自らを越えた彼女を、輝く瞳で見続けた。

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 緑へも :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ : 全身ぼろっかす、凄まじい倦怠感は痛みで堪えて

[メイン] 各務 チヒロ : お互い満身創痍で、へもを支えつつ街を歩く

[メイン] 各務 チヒロ : 仕方ない、家に一旦戻るしかない、かな…

[メイン] 緑へも : 支えられつつ、といった形で。

[メイン] : 「タ、タイヘンだ!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!?」

[メイン] 緑へも : ぜえぜえと息を吐きながら……

[メイン] 緑へも : 「…こ、え…?」

[メイン] : そんな二人に向かうかのような
声が一つ。

[メイン] 緑へも : その声の方へと顔をゆっくりと…向ける。

[メイン] マホロア : 「ダイジョウブかい!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…え?」

[メイン] 各務 チヒロ : なんか、なに

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 緑へも : 「え、ます…こっと…?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ぬいぐるみ?」

[メイン] マホロア : 「えっ、ワワッ!!?」

[メイン] マホロア : 「どうしよう!?ついアワててヒトマエに……」

[メイン] 緑へも : え、何だろうこの可愛いの……
ちっこくて、一頭身…?

[メイン] マホロア : 「ってそんなバアイじゃないヨ!!」

[メイン] 緑へも : 「……む、あなたは…どちら様、でしょう……?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…あ、えっと」

[メイン] 各務 チヒロ : 「だ、大丈夫…時間はかかるけど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「治るよ、一応…」

[メイン] 各務 チヒロ : まぁ、推定でも全治半月は欲しいけど

[メイン] マホロア : 「とりあえずハナシはアトアト!キミたちのキズがシンパイだヨォ!!」

[メイン] 緑へも : なにやら慌てた様子に、敵意は……ないように思えて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「あはは…ま、まぁ…」

[メイン] 緑へも : 「あっ、まあ……治り……たいですね」

[メイン] マホロア : そう言って自らの懐を探り出す

[メイン] 各務 チヒロ : 「…?」

[メイン] 緑へも : 「……むむ」

[メイン] マホロア : 「…………アッタ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「おお?」

[メイン] 緑へも : そちらへと、目を向ける。

[メイン] マホロア : Mと言う文字が書かれた、トマトのような物を取り出す。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…トマト?」

[メイン] 緑へも : 「ほへ……おいしそう、ですね……?」

[メイン] 緑へも : 唐突に現れたソレに、首を傾げつつ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「え、えと…随分大きいね」

[メイン] マホロア : 「とりあえず……アヤシイかもしれないケド」

[メイン] マホロア : 「コレ……タベテくれタラ、ウレシいナ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…うん、まぁ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「善意を反故にするのは悪いしね」

[メイン] 各務 チヒロ : ぐっと屈んで、トマトを受け取る

[メイン] 緑へも : 「………」
怪しさはある、けれど。
すっごく喉が渇いて仕方ないし、今は水分も欲しかった。

[メイン] 各務 チヒロ : そして、兎も角

[メイン] 各務 チヒロ : ひと齧り

[メイン] 緑へも : ただ、自分は食べることなく。
その資格もないと思ったから。

[メイン] マホロア : 「チョウシはドウ……?」
チヒロの顔を伺い

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」
ちらり、横目にそんな様子を見つつ

[メイン] 各務 チヒロ : 「…わお」

[メイン] 各務 チヒロ : 視線に映る私の腕が"治っている"

[メイン] 各務 チヒロ : 「…これは、もしかして…また?」

[メイン] 緑へも : 「……わぁあ…!凄い、ですね…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いや、その場合じゃないか」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ほら、へもも食べな」

[メイン] マホロア : 「フフフ……スゴいでショ?」

[メイン] マホロア : 「キミの分もしっかりあるヨォ」

[メイン] 緑へも : みるみる、回復したその腕に驚きつつ。
自らが傷つけてしまった腕が…なんとなしに。

[メイン] 各務 チヒロ : 「うん、まさかトマトで治るとは…」

[メイン] 緑へも : 「え、ぁ……いいん、ですか…?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アイドルが傷残したら大変でしょう」

[メイン] マホロア : 「ダイジョウブだヨ。キミたちのコト、しっかりミテたからネ」

[メイン] 緑へも : 本心では食べたかった様子を見せる用に、ぱぁっと顔を明るくして。

[メイン] 緑へも : 「……ありがとう、ございます……!」
ぱくり、とかじり。

[メイン] 緑へも : 「……本当です、痛みも…傷も消えていきます」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ねえ、君は一体?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「まるでその…なんか、スタンドそのもの…みたいだけど」

[メイン] 緑へも : 癒えたその腕を、しげしげに見ながら。

[メイン] 緑へも : チヒロにこくこく、頷く。

[メイン] マホロア : 「ウン、そうダネ。マズはボクジシンのコトをイワないと」

[メイン] 各務 チヒロ : 「うん、聞かせてほしい、かな」

[メイン] 緑へも : チヒロさんが言っていた通り、スタンドのような人…
癒す力もあるみたいだけど、一体、何の目的で…?

[メイン] マホロア : 「トクに、へもにはしっかりキイテほしイかナ」
マホロアに伝えたはずのない名前を口にする

[メイン] 緑へも : 「……特に私に…ですか…なんでしょう?」

[メイン] 緑へも : ……あれ?この人に名前、言ったっけ…?
アイドルだから、知ってるのかな…?

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふむ」

[メイン] マホロア : 「ボクはネェ、"矢"をサガシてるんダ」

[メイン] マホロア : 「どうしてもヒツヨウだから、ネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…矢を」

[メイン] 緑へも : 「……!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「どうして必要か、聞いても?」

[メイン] 緑へも : チヒロに、顔を向ける。

[メイン] 緑へも : …チヒロさんは、"矢"に否定的だった...
なら、その理由次第で...

[メイン] マホロア : 「クワシクはイエないけど……トモダチを、タスケたいカラ、カナ」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…友達、を」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ねえ」

[メイン] マホロア : 「ウン」

[メイン] 各務 チヒロ : 「君は、どこか別の場所から来た、のかな?」

[メイン] 緑へも : 「…別の場所……!?」

[メイン] マホロア : 「………カクシテも、シカタないネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「まぁ…」
簡単な推測、だけど

[メイン] マホロア : 「ソノトオリ、だヨォ」

[メイン] 緑へも : 思わず、そんな”推測”に声が出て。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「もし矢を手に入れたとしたら」

[メイン] 緑へも : 「な…そう、なんですね……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「その場所で、矢はしっかり保管できるかどうか、聞きたい」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] マホロア : 「ソレにカンシテは、シンパイいらないヨォ」

[メイン] マホロア : 「ボクはネェ、ツネヒゴロからジブンのモノはタイセツにホカンしてるんだ」

[メイン] マホロア : 「……ッてイッテもシカタナイね。キミたちはボクのコトをシラナイかラ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いや…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いいよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「少なくとも、怪我人を助けてくれる相手を疑うのは趣味じゃない」

[メイン] 緑へも : 「…まあ…確かに知りませんが……え……」
また、チヒロに振り向いて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は…矢をここに置いておきたくない、悪用されるのも、何かを起こしてしまうのも怖いから」

[メイン] マホロア : 「……アリガトウ」
微笑むをチヒロに向けて

[メイン] 各務 チヒロ : 「此処には私の友人もいるし、住む場所でもある」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ま、だから」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…その友達の為を踏みにじらず、矢をどうにかするなら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…信頼するのが、一番いい"解"でしょ?」

[メイン] 緑へも : ……友だちのため。
でも、きっと…その力が、必要なら……。

[メイン] 緑へも : 「自分で壊さなくても、いいって事…ですか」
チヒロに、それだけ向けて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…壊すのが最善なのは、私にとって」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも、まぁ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「少なくとも、恩があるなら…考えないと、さ」

[メイン] 緑へも : 恩を考えて……信頼……する。凄いです。
この方は…わたしや、この方を会ったばかりなのに、信用して……
優しい、ですね。

[メイン] 緑へも : 「……なる、ほど」
その言葉に、考えてから頷いて。

[メイン] マホロア : 「……イロんなヒトをミテきたケド、」

[メイン] マホロア : 「キミをシンヨウして、セイカイだったネェ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…まぁ」

[メイン] マホロア : 「………キミにナラ、イエるネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「こんな状況で疑ってかかりすぎるのも疲れるさ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…?」

[メイン] 緑へも : 「……」
おや、という顔でマホロアへとみる。

[メイン] マホロア : 「シンパイだったのはイチバンだったケド、それダケじゃナイんダ。タスケたリユウ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふむ」

[メイン] マホロア : 「キミのキョウリョクがホシいんダヨ、」

[メイン] マホロア : 「チヒロ。」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それは」

[メイン] 各務 チヒロ : 「矢を手に入れる、為かな?」

[メイン] マホロア : 「……そうだヨ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…いや、わかるよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「寧ろ、さっきのはそれも含めてだと思ってた、けど」

[メイン] 各務 チヒロ : まぁ、矢が欲しい理由…だし

[メイン] 緑へも : ぎゅっと、手を握って…
二人の話し合いを聞いている。
……二人とも、”誰か”のために……”矢”を求めてる…私とは、全然違う…

[メイン] マホロア : 「ボクはネ、ヒリキなんダ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] マホロア : 「ボクには、キミたちのモッテるチカラ、」

[メイン] マホロア : 「"スタンド"がナイんだ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…成程」

[メイン] 緑へも : 「なるほど……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…OK、わかった」

[メイン] 各務 チヒロ : 「多分、ここで了承するのが一番だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「君の道具は、もし悪い相手なら利用されるかもしれない、なら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私は味方になるよ、それより先に」

[メイン] 緑へも : チヒロの答えを聞いて。こくり。

[メイン] 緑へも : 「それが一番の”推測”…ですかね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…うん、そう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「へもや、君だけじゃない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「この街には何人もの気配がある」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…なら、そこに悪が混じらない保証はない」

[メイン] マホロア : 「……ソノトオリだヨ」
チヒロの、何人もの気配という言葉に反応し

[メイン] 各務 チヒロ : 「だから、そうする」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…トマト、美味しかったしね」
にこりと

[メイン] 緑へも : 「…それなら、私も…助けられた身、ですもん…!協力、させてもらいますよ…!」
ふんふん、手を上下させ。

[メイン] マホロア : 「……アリガトウ」

[メイン] マホロア : 「ボクはネ、キミタチもフクメて、イロンなヒトをミテきたんダヨ」

[メイン] マホロア : 「ジブンが、"矢"をテにスルためニ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そんなに、か」

[メイン] 各務 チヒロ : 矢について知ったのは、ここ最近だ

[メイン] マホロア : 「ドウシタラいいノカ、カンガエルためニ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ふむ」

[メイン] 緑へも : 「……」
話には聞いてきましたが、やはり…あの人が言う事だけの人数はいるんでしょう。

[メイン] 緑へも : 「……ふむふむ」

[メイン] マホロア : 「キョウリョクするからにハ、ボクのシッテるコト、ハナサないとネェ…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「あ~…それと」

[メイン] 各務 チヒロ : 「『名前』、教えてよ」

[メイン] マホロア : 「……オット」

[メイン] 緑へも : 「……あ、そうですね!お名前!」

[メイン] マホロア : 「ごめんネェ。キミたちのナマエをシッテて、これはシツレイだネェ」

[メイン] マホロア : 「ボクのナマエは、"マホロア"」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いいさ、でも聞かせては欲しいだけ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…マホロア、成程」

[メイン] 各務 チヒロ : 「覚えたよ、しっかり」

[メイン] 緑へも : 「…あ…」
「……勘違いじゃ、なかったんですね…」
先ほど、名前を言われた事を思い出し。

[メイン] 緑へも : 「……マホロアさん、ですね…!わかりました!」

[メイン] マホロア : 「じゃあ、ハナシのツヅキ、キイテくれるかい?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「勿論」

[メイン] 各務 チヒロ : 座り込んで、聞く姿勢

[メイン] 緑へも : こくり、とチヒロに頷く。
同じように、座る。

[メイン] マホロア : 「アリガトウ」

[メイン] マホロア : 「……まずはそうダネェ」

[メイン] マホロア : 「ボクがオモウ、いちばんケイカイしたいアイテについて、オシエるヨォ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…警戒」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ、聞かせてほしい」

[メイン] 緑へも : ふんふん、と頷きながら聞いている。

[メイン] マホロア : 「そのヒトはね、ワルいヒトなんかじゃナイんだ」

[メイン] マホロア : 「でもゼッタイにオレナい、"精神"を持っている」

[メイン] 緑へも : 「……折れない、精神」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふむ」

[メイン] マホロア : 「そしてボクたちと、タイリツするカノウセイもタカイ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「矢を…求めているから?」

[メイン] マホロア : 「……そんなトコロだね、チヒロ」

[メイン] 緑へも : ちらり、チヒロへと視線をやる。
彼女の精神は、見事なものだったからこそ…折れない精神がある、ってことが…信じられないようで。

[メイン] 緑へも : 「スタンドは精神力……と聞きました」
「本当にそうなら……手ごわそう、ですね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…その人、は」

[メイン] 各務 チヒロ : 「どういう人なの?」

[メイン] マホロア : 「"ジョルノ・ジョバァーナ"」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] マホロア : 「ギャングスター、ってヤツらしいネェ」

[メイン] マホロア : 「コウケツなセイシンと、クロいイシ、どっちもモチアワセテそうナ、オオモノだヨ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ジョルノ・ジョバーナ」

[メイン] 各務 チヒロ : …ジョジョ

[メイン] 各務 チヒロ : 星の、血統

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そう、か」
記憶が流れ込む、冷や汗をかく

[メイン] 緑へも : 「…高潔な精神と…黒い意志」
ごくり、と唾を飲む。

[メイン] 各務 チヒロ : …全てを奪った、記憶を

[メイン] 緑へも : そんな精神、果たして両立するのか…?

[メイン] 緑へも : 「…?大丈夫ですか…?」
何やら、どこか気分が悪そうな顔をしたチヒロへと、小声で。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…いや、大丈夫」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そのジョルノ・ジョバァーナは」

[メイン] 各務 チヒロ : 「此処に来ている、ってことね」

[メイン] マホロア : 「……すこしアクシデントがあったミタイだけど、そうなるダロうネ」

[メイン] 緑へも : ……大丈夫かな、なんて思いながら。
しかして話へと傾ける耳は変わらず。

[メイン] 各務 チヒロ : ───君は『引力』を信じるか?

[メイン] 各務 チヒロ : …そう、か

[メイン] 各務 チヒロ : 「…わかった」

[メイン] 各務 チヒロ : 『引力』は、あるのだろう

[メイン] 各務 チヒロ : 記憶も、血も、運命もある

[メイン] 各務 チヒロ : そして、それが激しく波打つとき、どう人を飲み込むのか

[メイン] 各務 チヒロ : 『覚悟』は出来ている

[メイン] 各務 チヒロ : 「…もし、彼が敵になったとしても」

[メイン] 各務 チヒロ : 「躊躇えば、死ぬのは私なんだろう」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 私は、決して記憶の主ではない

[メイン] マホロア : 「……そのカクゴはヒツヨウだ」

[メイン] 各務 チヒロ : しかし、『覚悟』は出来る

[メイン] 各務 チヒロ : 「出来ているよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「この街を、背負う為に」

[メイン] 各務 チヒロ : 『覚悟』は、無謀でも自棄でも無い

[メイン] 各務 チヒロ : 立ち進まねば、決して良くなる事はないと知っているからこそ

[メイン] 各務 チヒロ : 「…それに、君の事も背負うことになるし、ね」

[メイン] 緑へも : 「……...!」

[メイン] 緑へも : チヒロさん...!
ぞくり。その言葉に、思わず感嘆する。

[メイン] 緑へも : 「優しいですね、やっぱり…」
自分には到底できない、その『覚悟』を決める『高潔な精神』に言葉が零れる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…優しいだけじゃ果たせない、けどね」

[メイン] 各務 チヒロ : 汗は、伝う

[メイン] 各務 チヒロ : ジョースターの血は、運命と共にある血統

[メイン] 各務 チヒロ : 運命は、決して

[メイン] 各務 チヒロ : 誰の手にもない

[メイン] 緑へも : その汗をハンカチで、拭い。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ぁ…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…悪いね」
ふう、と息を吐く

[メイン] 緑へも : 「でも、きっと…それを乗り越えて、始まるんですよ」
その答えににこり、と笑いかけて。

[メイン] マホロア : 「……カレはツヨイ。ハッキりイッテ、タタカイたくないアイテだ」

[メイン] マホロア : 「ダカラこそテイアンがある。そしてボクがカカエテるモンダイもある」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…聞かせてほしい」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私も"戦いたくは無い"」

[メイン] 緑へも : 「……」
そして、マホロアへと向き直り。

[メイン] マホロア : 「……テイアンからイおう」

[メイン] 各務 チヒロ : こくり、頷く

[メイン] マホロア : 「まずは"ミカタ"をフヤす」

[メイン] マホロア : 「ムコウがタタカイをイドメナい、そんなジョウキョウをツクリたい」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ、それは…賢いね」

[メイン] 各務 チヒロ : 威圧は順当な手段だ

[メイン] 各務 チヒロ : 手の内がわからないスタンド使いの集団なんて、脅威そのもの

[メイン] 緑へも : 「ふむふむ…」
こういった"戦術"には疎く、真剣に耳を傾ける。

[メイン] マホロア : 「そのためにツギ、あたるニンゲンのメボシはついてるヨ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「へぇ」

[メイン] 緑へも : 「ほほう……」

[メイン] マホロア : 「フレンダ=セイヴェルン」

[メイン] マホロア : 「おそらく、イマいるニンゲンのなかじゃ、いちばんボクたちとタイリツするカノウセイがヒクいとミてるヨ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふむ」
知らない名前だ

[メイン] 緑へも : 「……”味方”になりそうだと…」
ふんふん、と頷いて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「まずはそのフレンダと接触、しようか」

[メイン] マホロア : 「ボクたちがウゴクとしたら、まずそうなるネェ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「OK」

[メイン] マホロア : 「………そしてもうヒトツ、ツギはモンダイのホウだネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「有難いよ、情報は調べて手に入るものじゃない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…うん」

[メイン] 緑へも : 「はいっ!マホロアさんもありがたく……あれ?」

[メイン] マホロア : 「"ジョルノ・ジョバァーナ"、カレはイマのダンカイでゼッタイにセッショクしたくないアイテだけド」

[メイン] マホロア : 「……ボクはカレがイチバんシリたがってるジョウホウを、イマ、ニギッてる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…知りたがっている、情報」

[メイン] 緑へも : 「…それは……一体…?」
膝を整えつつ。

[メイン] マホロア : 「そのジョウホウはあるニンゲンのコト」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…?」

[メイン] マホロア : 「"ジョルノ・ジョバァーナ"が最もケイカイしなければナラナいニンゲンだとするナラ」

[メイン] マホロア : 「ソイツは、モットもキケンなニンゲンとなりうるネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そんな、相手が」

[メイン] 緑へも : 「危険……」
復唱するように。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…恐らく、相当なスタンド使いなんだろう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ギャングのボスの立場には、公的に恐れる存在は殆ど無い」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そう考えると」

[メイン] 各務 チヒロ : …まるで

[メイン] マホロア : 「ウン……」

[メイン] 各務 チヒロ : "DIO"のような、存在

[メイン] マホロア : 「そのコのナハ……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!」

[メイン] マホロア : 「"ディア"」

[メイン] 緑へも : 「……!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ディア」

[メイン] 緑へも : ただでさえ、”格が違う”ようなジョルノという人が…恐れるディア、という人…。
チヒロさんの言う通り、この街にはもう…”悪”が。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…わかった」

[メイン] 各務 チヒロ : 「警戒すべきは、ジョルノとディア」

[メイン] 各務 チヒロ : 「その二人には因縁がある」

[メイン] 各務 チヒロ : 因縁は、『引力』

[メイン] 各務 チヒロ : その二つが惹かれあうのかもしれないと、今は思う、が

[メイン] マホロア : 「カノジョのノウリョクはミチスウだ。そしてハッキりイウ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…だからこそ、そこにマホロアが巻き込まれないようにする」

[メイン] マホロア : 「ソイツとタイジして、ゼンリョクでぶつかってコラれたら、ボクたちは3ニンともシヌ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…わかった」

[メイン] 緑へも : 「そ、そこまで…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「"あり得ること"だ」

[メイン] 緑へも : ごくり、と唾を飲み……。
その”恐怖”を覚えながらも。

[メイン] 各務 チヒロ : 私は、知っている

[メイン] 緑へも : 「……有り得る、こと…」

[メイン] 各務 チヒロ : 一秒の時の必要もなく

[メイン] 各務 チヒロ : 殺せるスタンドを

[メイン] 各務 チヒロ : 「…幸い」

[メイン] マホロア : 「……ジョルノがモットもオソレれているコトは、カノジョが"矢"を手に入れるコトだ」

[メイン] マホロア : 「オソラク、カノジョが"矢"をテにイレタラ、ダレにもトメラレない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それらを倒すのが勝利じゃないのが幸運だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…"矢"を手に入れればいい」

[メイン] マホロア : 「……ソレもいいネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「その目的の過程で、その事態があるとしても私たちは避けるだけだ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「最悪の事態に死が待っているのは、知っている」

[メイン] 各務 チヒロ : 「相手は多分、既に殺しに躊躇いは無い」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも私たちの目的は殺しじゃない」

[メイン] 緑へも : ……ふと、気になった

[メイン] 緑へも : 「”目的”は違うなら……”手段”も、そう…でしょうか?」
殺し、という…手段。

[メイン] 緑へも : 「”目的”のために、どうしても壊さないといけないようでも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] マホロア : 「……ボクは、そうだネェ」

[メイン] 緑へも : ……気になってしまった。
この二人が、果たして…どう”向かおう”としているのか。

[メイン] マホロア : 「………アラソイは、スキじゃないネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私は計算が得意なんだ」

[メイン] マホロア : 「シュダンとしてツカワズにスむなら、そうしたいヨ」

[メイン] 緑へも : 「好きじゃない……」

[メイン] 緑へも : 「……ふむ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「難しい答えの為に、幾つもの数値と手段を使う」

[メイン] 各務 チヒロ : 「殺して、ずっと消えるなら、それを良しとする誰かがいるかもしれない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…それでも私は、その相手という数値を捨てることは無く、回り道でもいいから」

[メイン] 緑へも : 「……」
その話を、じっと聞く。

[メイン] 各務 チヒロ : 「『納得』出来る答えが欲しい」

[メイン] 各務 チヒロ : 「人は、引かれ合う」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも、それは殺し合う為なんかじゃあ、ないはずさ」

[メイン] 緑へも : 「………なる、ほど…」

[メイン] 緑へも : 「…お二人とも…いい、考え方だと思います」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…へもも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「聞かせてほしい」

[メイン] 各務 チヒロ : 「考えは、知るべきだ」

[メイン] 緑へも : ……自分には出せないような、”解”。
だからこそ、その言葉を聞いてしまって深く。

[メイン] 緑へも : 「え、あ…私、ですか」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「へもは多分、仲間だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも、なら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「悔いなく仲間で居させてほしい」

[メイン] 緑へも : その言葉に……ぐん。

[メイン] 緑へも : …仲間……

[メイン] 緑へも : 「…わかりました」

[メイン] 緑へも : 「私は弱いから…強くなりたい、って思って、”矢”を手に入れるために…戦おうとしました」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ああ」

[メイン] 緑へも : 「でも、今は…強くなるよりも」

[メイン] 緑へも : 「……強い皆さんの、お手伝いが出来たらなって、そう思ってるんです」

[メイン] 緑へも : にこっと、笑って。

[メイン] 緑へも : その強さは、戦うためのものでもなく。
…戦いを”拒否”できる、心の強さに向けて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…なら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「よかった」
笑みを見せて

[メイン] 各務 チヒロ : 「…決まったね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「これからの方針も、やるべきことも」

[メイン] 緑へも : 「わぁ……!!ふふ、これで私たち…ちゃんと”仲間”…ですから!」
と言い。
その笑みを見て、嬉しそうに。

[メイン] 緑へも : 「…ええ!」
強く、頷く。

[メイン] マホロア : 「ウン」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「マホロアには隠れていて欲しい、もし狙われたら危ない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「へも、ラバーズをマホロアに付けられる?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「自分の情報が伝達するなら、逆も出来るはずだ」

[メイン] 緑へも : 「了解です!」
ぴしり、と敬礼し……

[メイン] 各務 チヒロ : 「幸い射程で不安はない、しね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも出来るだけ離れずに行動はしよう」

[メイン] ラバーズ : 『マギィーッ』と、か細い声がマホロアへと。

[メイン] 緑へも : こくり、と頷く。

[メイン] 各務 チヒロ : 「目標はフレンダとの接触」

[メイン] 各務 チヒロ : 「次点で仲間の確保」

[メイン] 各務 チヒロ : 「求める"解"は矢の確保、で」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ、行動開始かな」

[メイン] マホロア : 「ボクのイイタいコトとしては」」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ」

[メイン] マホロア : 「ジョルノはディアのジョウホウならナンダッてツカモウとするだろウ」
「そのジョウホウを、ボクはニギッてイル」

[メイン] 緑へも : 「はいっ…!あ、なんでしょう!」

[メイン] マホロア : 「ゼッタイにタタカイたくナイけど、タタカウしかないジョウキョウにもなりウルわけだネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ」

[メイン] 緑へも : 「……ふむふむ」

[メイン] マホロア : 「サケるのがサイゼン。でも"カクゴ"はモツシかナイヨ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…分かってる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「最悪は何時だってあり得る」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…だからこそ、最高を目指すよ」

[メイン] 緑へも : 「ええ、そして…そのお手伝いができるように!」
こくこくと、頷き。

[メイン] マホロア : 「タノモシイね……」

[メイン] マホロア : 「ジャア、イコウ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ」

[メイン] 各務 チヒロ : 立ち上がり

[メイン] 各務 チヒロ : 「…マンハッタントランスファー」

[メイン] マンハッタントランスファー : 衛星を、空高く

[メイン] 各務 チヒロ : 「警戒は始める」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でも、お互い気を付けて」

[メイン] 各務 チヒロ : そう言って、歩き出す

[メイン] マホロア : 「アリガトウ、キミも、ネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 頷き

[メイン] 緑へも : 「はいっ!もちろんです…!」
マホロアに頷きつつ。

[メイン] 緑へも : 歩みを、始める。

[メイン] 各務 チヒロ : 風は、揺るがない

[メイン] 各務 チヒロ : 夜闇に、星は消えない

[メイン] 各務 チヒロ : そして、引力は

[メイン] 各務 チヒロ : 決して止まない───

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 : ………『矢』の話……。

[メイン] 一条 : ……ククク……有益……何という幸運……僥倖……。

[メイン] 月霊髄液 : "月霊髄液"を忍ばせ、その会話を聞いていた一条。

[メイン]   : 『この街を戦場にはしないで貰いたい』

[メイン] 一条 : 「…………………」

[メイン] 一条 : ………俺の命を救ってもらったばかりで申し訳ないが……。

[メイン] 一条 : ……俺には……『夢』がある………!

[メイン] 一条 : ……極力、君達のいない場所で戦わせてもらうよ。

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 :  

[メイン]   : ポタ……ポタ……

[メイン]   : チヒロ達の真上から垂れ落ちる。

[メイン]   : 僅かな光が反射して、煌びやかに光る液体金属。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーが捉えたのは

[メイン] 各務 チヒロ : 液体の"存在"!

[メイン] 月霊髄液 : ドドドドドドドドドドドドドドド………

[メイン] 緑へも : 「…どうしましたか…!?」

[メイン] 月霊髄液 : 視線を向けた先に、そこに重く鎮座する、巨大な、"敵意の塊"。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…離れて!」

[メイン] 緑へも : 顔色が変わった、チヒロへと────

[メイン] 各務 チヒロ : 「…この銀色の液体は」

[メイン] 月霊髄液 : チヒロの言葉と共に、その巨大な液体金属は────

[メイン] 月霊髄液 : 3人のいる場所へと、降り注ぐッッ!!
その圧倒的物量で、飲みこまんと─────

[メイン] 各務 チヒロ : 「マンハッタントランスファー!」

[メイン] 緑へも : 「…なッ……!」
その言葉に、マホロアをも抱え、離れようとするが────

[メイン] 各務 チヒロ : 気流を見れば、流れがわかる

[メイン] 緑へも : 「……!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 押しのけた空気の動きは、液体の未来!

[メイン] 各務 チヒロ : 「躱すよ!」
へもを抱えて、一気に後退する

[メイン] マホロア : 「……!?」
状況が理解できてない、といった風な様子。
チヒロの言うことを聞きさっさと離れる

[メイン] 緑へも : 「…は、はいっ…!!」
そのままなすがままに抱えられ。

[メイン] マンハッタントランスファー : 濁流の傍で、液体の動きを気流で捉える

[メイン] 各務 チヒロ : 「…とは、いえ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「まさか、これも"スタンド"!?」

[メイン] 月霊髄液 : 意志の無い"ソレ"は、近くに存在する生命体を捉えんと
その軟体な実体を利用し、地面にぶつかった際に拉げる反動を利用し……

[メイン] 各務 チヒロ : 目の前の躍動する液体は、明らかに異様!

[メイン] 緑へも : 「…こんな物質、生み出せるのはそれくらいじゃ、ないですかね…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ああ、もう!」

[メイン] 月霊髄液 : 3人へ、重力に逆らって……襲い掛かるッッ

[メイン] マホロア : 「アワワ……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…屈んで!」

[メイン] 月霊髄液 : その飛び立った地面は、アスファルトの上というにも関わらず、陥没しており─────

[メイン] 各務 チヒロ : へもの前に立ち、盾になりつつ

[メイン] 緑へも : そう、自らが躱そうとしていた着弾地点。
そこには、液体金属がつぶ……れず、むしろこちらに向かう。

[メイン] 月霊髄液 : この液体金属の重量を思い知らされることだろう。

[メイン] 緑へも : 「…はい…!」

[メイン] 緑へも : そのまま、姿勢を低くしかがむ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「マンハッタントランスファー!反射しろォ───ッ!!!」

[メイン] マンハッタントランスファー : 瞬間、静止

[メイン] マホロア : 「……!!」
へもに続いて屈む

[メイン] マンハッタントランスファー : 飛びかかる質量のうち幾つかを"弾丸"の代わりに反射する、が

[メイン] マンハッタントランスファー : 波打つ質量の全ては反射する事は叶わない

[メイン] マンハッタントランスファー : 小型の衛星をすり抜ける分は

[メイン] 各務 チヒロ : そのまま、自身に襲い掛かる

[メイン] 緑へも : 今は…”戦い”の時…!
ぱちり、ラバーズを消えさせて、自らの体へと。

[メイン] 緑へも : 「…チヒロ…さんッ…!?」

[メイン] マホロア : 「……!?………?!?」

[メイン] 緑へも : 屈むことで、被害を……否。

[メイン] 月霊髄液 : 濁流は、その物量は、チヒロの腹部へ容赦なく

[メイン] 各務 チヒロ : 「二人は逃げて!」

[メイン] 月霊髄液 : ─────押し飛ばすッッ

[メイン] 緑へも : ”庇う誰か”がいたからこそ、この結果。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ、ぐぅ…!!」

[メイン] 各務 チヒロ : みしりと、骨が歪み

[メイン] 各務 チヒロ : そのまま、壁に叩きつけられる

[メイン] マホロア : 「………!!」

[メイン] マホロア : 「……いくヨ!!へも!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ガッ、は…」
内臓のダメージに出血を起こす、が

[メイン] 月霊髄液 : 液体金属は、意志を持たない、何度も言う、意志を持たない。
目の前にいる、3体の生命体の鎮圧が命であり……。

[メイン] 緑へも : 「……そんな、っ………マホロアさん…」
逃げろ、その言葉に…戸惑うが。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…やっぱり、液体じゃない」
分析を止めることは出来ない、止めれば

[メイン] マホロア : 宙に浮いた状態で、へもを抱えようとする

[メイン] 各務 チヒロ : ───死ぬのだ

[メイン] 月霊髄液 : 数刻の静止が、命取りとなるッ

[メイン] 各務 チヒロ : 「へも!私にラバーズを!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「そして逃げて!」

[メイン] 緑へも : 「……でも……! ッ!」
そのまま抱えられ、”戦”の場から……逃げる前に。

[メイン] 各務 チヒロ : もう一度マンハッタントランスファーを前方に

[メイン] マホロア : 「ボクもキミも……イマ、ナニかデキルコトがオモイツクかイ?!」

[メイン] 緑へも : 指先を────チヒロに向ける。

[メイン] 緑へも : 「”これ”以外は……逃げること、だけ、ですね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ああ」

[メイン] 月霊髄液 : 液体金属が、再度襲い掛からんとし、その体を拉げる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「次は防がない」

[メイン] 月霊髄液 : 飛び出すまで、残り─────2秒。

[メイン] ラバーズ : 二度目は、わかりやすかった
耳元にふれた、違和感。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…止める」

[メイン] 各務 チヒロ : 弾丸を一発、ライフル弾

[メイン] 月霊髄液 : 1秒。

[メイン] 各務 チヒロ : それはマンハッタントランスファーに弾かれて

[メイン] 各務 チヒロ : 裏路地に伸びる、室外機を叩き落とす

[メイン] 各務 チヒロ : 「質量には…"質量"でしょ」

[メイン] 各務 チヒロ : その落ちる室外機は…

[メイン] 各務 チヒロ : 目の前の水銀、ではなく

[メイン] 月霊髄液 : ──────────0秒

[メイン] マンハッタントランスファー : マンハッタントランスファーに、落下し

[メイン] マンハッタントランスファー : その落下軌道を

[メイン] マンハッタントランスファー : 真っ直ぐ、水銀に向かい撃たせるように

[メイン] マンハッタントランスファー : 重量の手招きを、砲弾に利用する

[メイン] 各務 チヒロ : 「飛び込むなら、真正面から受け止めろ!」

[メイン] 月霊髄液 : 液体金属は───────意志を持たない。
チヒロのもとへ……"真正面"へッッ

[メイン] 各務 チヒロ : 「…命中」

[メイン] 各務 チヒロ : 目の前で、室外機が砕け散る

[メイン] 各務 チヒロ : 「そして…今は、逃げる!」

[メイン] 月霊髄液 : そうして、空中で水銀は、物量により弾け飛ぶッッ

[メイン] 各務 チヒロ : 踵を返して、逃亡を始める

[メイン] 各務 チヒロ : 「マンハッタントランスファー…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「気流で、本体を探す…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 意識を集中させて、乱れた呼吸を、警戒を、敵意を…微細でもいい、おかしな反応を探る

[メイン] 月霊髄液 : 空中破裂により、後方へ飛散する水銀は、チヒロらを追撃するには
支点を探し、ベクトルを定め、その物量を放つエネルギーを放つスパンが必要となり
その猶予が間に合わず─────

[メイン]   :  

[メイン]   : その気流は、路地裏の、奥へと繋がっており─────

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「狙うなら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「コイツを突っ切って、路地裏の奥」

[メイン] 各務 チヒロ : 逃げ道を止め

[メイン] 各務 チヒロ : 先程の路地裏の奥を見据える

[メイン] 各務 チヒロ : 「…成程、てっきり人ごみに紛れて盾にするかと思ってたけど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「意外と、配慮してるらしい」

[メイン] 一条 : ─────チヒロが見据えた先に、その男は立っていた。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「マンハッタントランスファー」

[メイン] マンハッタントランスファー : 傍に浮かび、動きを確認

[メイン] 一条 : 長髪の成人男性。その表情は……冷たく。
初戦で見せていた『余裕』は、そこには無く。

[メイン] 一条 : マンハッタントランスファーが捉えた、眼前の男の動き……
……否

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッチ」

[メイン] 月霊髄液 : 男の周りを蠢く、液体金属の存在で

[メイン] 各務 チヒロ : 回避をすれば

[メイン] 各務 チヒロ : 攻撃する余裕はない

[メイン] 月霊髄液 : 『敵』であることが、分かったであろう。

[メイン] 各務 チヒロ : 回避を怠れば

[メイン] 各務 チヒロ : 攻撃する前に、射貫かれる

[メイン] 各務 チヒロ : 「随分、便利なスタンドだ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「一人でも、攻防一体だね」

[メイン] 一条 : 「……ククク、だろう……?……加えて遠隔操作も、索敵も、お手の物だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でもまぁ」

[メイン] 一条 : 両手を広げてみせ
そして周囲に、液体金属を浮かせ─────。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…二人で掛かって」

[メイン] 一条 : ………しかし、この女も……。

[メイン] 各務 チヒロ : 「埋めさせてもらう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…へも!」

[メイン] 一条 : 掻い潜った、というわけか……。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ラバーズを、マンハッタントランスファーにもくっつけて」

[メイン] 一条 : 「……ほう……?」
ざわ……ざわ……

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そして、マンハッタントランスファーが動いたら」

[メイン] 緑へも : 「────はいっ!」
路地裏で、声を返し────。

[メイン] 各務 チヒロ : 「私の脳から直接、私を動かして!」

[メイン] 一条 : ……複数のスタンド使いを敵に回すということの危険性は、当然俺も理解はしていた。

[メイン] 各務 チヒロ : …回避は、マンハッタントランスファーだけでも勝手に行う

[メイン] 各務 チヒロ : 私が追従するには集中するしかない、が

[メイン] 一条 : 俺よりも生きてきた年数が少ない……あどけない少女達でも
侮れない。

[メイン] 緑へも : 「それが…チヒロさんの…解…!」

[メイン] 各務 チヒロ : それが出来るのは、もう一人居る!

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ああ!」

[メイン] 一条 : それは、俺が最初に戦った、金髪のガキとの戦いで思い知ったことだ。

[メイン] 各務 チヒロ : そして

[メイン] 各務 チヒロ : 守りの全てを彼女に委ねて

[メイン] 一条 : 「……ククク……『連携』か……」

[メイン] ラバーズ : ドギューンッ!と。
スタンド像が、マンハッタントランスファーへと。

[メイン] 各務 チヒロ : 前方、一条へ距離を詰めに係る

[メイン] 一条 : 「お前達も、『矢』を探し求めてるのだろう?」

[メイン] 一条 : 「『敵』同士だったのだろう?」

[メイン] 一条 : 「……そう簡単に」

[メイン] 緑へも : ……任されました…これが、私に、できる事…!
一歩間違えれば、チヒロさんが怪我じゃ済まない。

[メイン] 一条 : 「息は、合うのかな?」

[メイン] 一条 : そう言い放つや否や

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふふ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「一人より、どちらにせよ」

[メイン] 月霊髄液 : 周りに蠢く液体金属は、"敵意"を秘め。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ずっと"良い"」

[メイン] 一条 : 「………………」

[メイン] 緑へも : 「1+1は、2」

[メイン] マンハッタントランスファー : ラバーズの張り付いたまま

[メイン] 緑へも : 「簡単な答えですよ!」

[メイン] マンハッタントランスファー : チヒロのすぐ目の前に

[メイン] 一条 : ………どいつも、こいつも……耳障りの悪いことばかり喋る、五月蠅いガキばかりだ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「どうぞ一人で…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「攻めて、守って…勝ってみせたらいい!」

[メイン] 一条 : 「………1人より、ずっと『良い』……?クク……クカカカ……!ふざけろ……!!」

[メイン] ラバーズ : 無論、しがみついたまま。
本体からの指示を待つ。

[メイン] 各務 チヒロ : ライフルを構えて

[メイン] 一条 : 一条の怒りが……エネルギーが

[メイン] 各務 チヒロ : 水銀の潜む路地裏を駆ける

[メイン] 月霊髄液 : 月霊髄液の、"スタンド"の精神力としての

[メイン] 月霊髄液 : 『強さ』を、増長させるッッ

[メイン] 月霊髄液 : スタンドとは、精神そのもの

[メイン] 月霊髄液 : 勝ちたい、そういった熱い想いが、その力を、より高く、より大きく変えるッッ

[メイン] 緑へも : 「……っ」
何か、あの金属の雰囲気が…変わった…!?
……”大きく”なっていく…

[メイン] 各務 チヒロ : 「…へも、守り切らなくてもいい」

[メイン] 一条 : 「……人生なんてな……たった1人で渡り歩く……『鉄骨渡り』なんだよっ……!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私にこの先に…"届かせて"!」

[メイン] 一条 : 「少しでも『努力』を怠れば……後ろから、押される……!突き飛ばされる……!!」

[メイン] 緑へも : 「……必ず、”届かせます”」
チヒロの言葉に、強く頷いて。

[メイン] 一条 : 「どんなに『勝利』を重ねても……たった1度の『敗北』で……全て……振るい落とされるっ……!!!」

[メイン] 一条 : 「それでも、連携をほざくのか……!?」

[メイン] 一条 : 「人は……1+1で2には、ならない……!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…いいや、して見せる」

[メイン] 各務 チヒロ : ライフルを、撃ち放ち

[メイン] 一条 : 「何っ……!?」

[メイン] 緑へも : 「…私は、独りよがり…だから、わかりませんけど」

[メイン] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーが、それを一条に

[メイン] 各務 チヒロ : 二発、まず

[メイン] 各務 チヒロ : 両足を狙う弾道に

[メイン] 月霊髄液 : 2人のもとへ、『怒り』で飛びかかる液体金属。

[メイン] 緑へも : 「そう、頼まれたのだから…!」
目は、金属を捕らえたまま。

[メイン] 月霊髄液 : その2発により、変形。

[メイン] マンハッタントランスファー : 気流を読んで、回避の動き

[メイン] 月霊髄液 : 両脚への弾丸を防ぐ形にはなったものの……

[メイン] 各務 チヒロ : 「やっぱり、ライフルじゃ防がれる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…これなら"どう"?」

[メイン] 月霊髄液 : その軌道は─────

[メイン] 一条 : 「!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 更に、もう一発

[メイン] ラバーズ : その回避を計らった、上で────

[メイン] マンハッタントランスファー : 今度は、一条の

[メイン] 一条 : 何か手を隠しているというのか……!?

[メイン] マンハッタントランスファー : その、上

[メイン] 一条 : どこだ……一体どこから……!?

[メイン] 一条 : 前か……?後ろか……?横か……?

[メイン] マンハッタントランスファー : 見当違いの弾丸は

[メイン] マンハッタントランスファー : バチン

[メイン] 一条 : 「──────────なぁっ……!?!」

[メイン] マンハッタントランスファー : 金属の弾けた音と共に

[メイン] 一条 : 上……だとっ………!?!

[メイン] マンハッタントランスファー : 一条の上の

[メイン] マンハッタントランスファー : 張り巡らされた、電線を

[メイン] マンハッタントランスファー : 切り離して、一条の上に

[メイン] 各務 チヒロ : 「水銀か、硬くて重くて…無敵だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でも、電気を通してしまったら」

[メイン] 一条 : ざわ……

[メイン] 一条 : ざわ…… ざわ……
 ざわ…… ざわ……

[メイン] 各務 チヒロ : 「触れてていいか、アンタを守るかは」

[メイン] 一条 : 一条の額に、冷や汗が流れる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「"もうわからない"」

[メイン] 一条 : 「ま……まさかっ……!?!」

[メイン]   : バチィイイイッ!!!!

[メイン] 各務 チヒロ : 「…高圧電力を喰らいな、お兄さん」

[メイン] 一条 : 「がああああああああああああああああっ………!?!!?」

[メイン] ラバーズ : それには終わらず。ぐい、と。
マンハッタントランスファーを動かす。

[メイン] 各務 チヒロ : 「っと!」

[メイン] 月霊髄液 : "本体"の感電により、その"スタンド"の動きも、『不規則』へ

[メイン] 各務 チヒロ : 脳内の"指令"に従って

[メイン] ラバーズ : 目下までに迫っていた、金属。
それを……躱すように。

[メイン] 各務 チヒロ : 攻撃を、ひらり躱して貰える

[メイン] 月霊髄液 : 電気信号により、 月霊髄液は……四方八方へ、その物量を発散ッッ!!!
もはや、制御不能……!!

[メイン] ラバーズ : 本来であれば、傷もあったかもしれないが。
『不規則』になったその動きは、躱すことも悠々と。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…このままじゃ死ぬよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「電線をモロに食らう、その内全部焼き斬れる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「スタンドを解除して」

[メイン] 一条 : 「ぐがあぁあああぁっ……!!!あが……がっ……!!!ぐっ………!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「体は動かなくても」

[メイン] 一条 : 真っ白い泡が、口の中から零れ落ちながらも

[メイン] 各務 チヒロ : 「それで、再起不能にはなるけど、生き残れる」

[メイン] 一条 : 男は、猛獣のように、睨むように……チヒロを、見つめ。

[メイン] 緑へも : ……やった、私が…!
という、喜びに抱えられながらも、チヒロと一条を見。

[メイン] 一条 : 「……馬鹿に……す……る………なっ………!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ああああもう…!」

[メイン]   : 『ええ、アナタってば他人に縄をかけさせてもらうなんて
 他人任せだとは思わなかったわ、それじゃあ今までの態度は偽物ってことになるってわけよ』

[メイン] 各務 チヒロ : 「死ぬのにバカも何も…!もう!」

[メイン]   : 『死ぬ時も、自分で縄をかけて、自分で首を吊るぐらいの男だと思ってたわけだけど?
 しかも踏み外す台も全部手作りするタイプ』

[メイン] 一条 : ………丁度、いいじゃあ……ない、か……

[メイン] 一条 : クク、クカカ、クカカカカカ………

[メイン] 各務 チヒロ : 「トランスファー!」

[メイン] 各務 チヒロ : 二発

[メイン] 一条 : 俺の、意地で、死ねるなら………

[メイン] 各務 チヒロ : 弾かれた銃弾は

[メイン] 緑へも : …その男の有様で、思わず”前の私”を思い出し。

[メイン] 一条 : 死ぬには、いい日っ………!!

[メイン] 各務 チヒロ : 垂れた電線を、打ち切る

[メイン] 緑へも : 「どうして、そんなに……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「もう止まれ…馬鹿野郎!」

[メイン] 一条 : 「っ……!?げ、ほっ……ごほ……」
電線が断ち切り、男は、糸が切れたように、地面に伏し……

[メイン] 月霊髄液 : 周囲に浮かんでいた液体金属も

[メイン] 月霊髄液 : "唯の液体金属"へと、変わり……。

[メイン] 月霊髄液 : 地面に、転がり。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「はぁ…ったく」

[メイン] 一条 : 「ハァ……!ハァ……!……ク、ソっ……!……何だ……!一体、何なんだ、お前らっ……!!!」

[メイン] 一条 : 残る体力が僅かながらも、拳を握り締め、硬いアスファルに叩きつける。

[メイン] 一条 : 何度も、何度も、何度も。

[メイン] 各務 チヒロ : 「殺すのは最悪の場合、に決まってる」

[メイン] 一条 : そこ拳が、血に滲もうとも、叩きつける。

[メイン] 緑へも : 「……ぁ…… っ、あ…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…アンタは」

[メイン] 各務 チヒロ : 「死ぬより、情報を渡してもらう」

[メイン] 緑へも : ”生きていた”事に、安堵の溜息を漏らしつつ。

[メイン] 一条 : 「………ちっ……!……賢い……選択、だ……な……だが……」

[メイン] 一条 : 自嘲するような顔を、チヒロへ向けながら。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ラバーズ」

[メイン] 一条 : 「生憎だが……俺は……何も、知らねぇっ……!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そう」

[メイン] 一条 : 「『矢』も……『スタンド』も……戦いも………『勝利』もっ………!!」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「じゃあ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「どうして私たちを襲ったの」

[メイン] 各務 チヒロ : 口から垂れた血を拭って

[メイン] マホロア : 「…………」
戦いが終えたのを感じとり、ひょっこりと姿を現す

[メイン] 一条 : その言葉に、チヒロの目を見つめ、眉を顰めながら。

[メイン] 緑へも : 指先は、すでに。
一条へと向けている。

[メイン] 一条 : 「……俺は……立つんだ……頂点に………これが、俺の……最後の、チャンスなんだっ……!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…その為に」

[メイン] 各務 チヒロ : 「"矢"が欲しかった、と」

[メイン] 一条 : 「『矢』を見つけて……そうして俺は……認められるっ………!!最高幹部にっ……!!」

[メイン] 一条 : 「……ああ……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「潔く、諦める?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それとも、此処で再起不能になる?」

[メイン] 緑へも : 「……」
”自分”が、もっと”上”になるために…

[メイン] 一条 : 「………ククク……なぁ……」

[メイン] 一条 : 「嬢ちゃん……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 一条 : 「………どっちが……惨め、なんだろうな……?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…さあね」

[メイン] マホロア : 「…………」

[メイン] 一条 : 自嘲するような笑みを浮かべながら。

[メイン] 各務 チヒロ : 「少なくとも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「相手に諦める口実を貰うより」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私だったら、自分で決める」

[メイン] 一条 : 「………フ……ハハハハハハハハ……!!」

[メイン] 一条 : 「……ああ、そうだ……その通りだ………」

[メイン] 一条 : 「………なぁ……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…何」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 一条 : 「……そっちも、何故、『矢』を探している……?」

[メイン] 一条 : 「俺の『夢』を踏みつぶしてまで……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ここから、無くす為」

[メイン] 一条 : 「何故、見つけようとする……?何が手に入る……?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「過ぎた力に、運命に」

[メイン] 一条 : 「……無くす、だと……?」

[メイン] 一条 : ざわ……ざわ……

[メイン] マホロア :

[メイン] 各務 チヒロ : 「この街が惑わされない為」

[メイン] 各務 チヒロ : 「引き合う事は、全てが幸福じゃない」

[メイン] 一条 : 「……『矢』には、『価値』がある……俺は、そう聞いたぞっ……!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「この出会いみたいに、ね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…だからだよ」

[メイン] 一条 : 「……………」

[メイン] 各務 チヒロ : 「この街には、数万人の住人と」

[メイン] 一条 : 住人……。

[メイン] 各務 チヒロ : 「私の友達と」

[メイン] 一条 : ……一条の脳裏に過る。

[メイン] 各務 チヒロ : 「そして、私が居る」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そこに、矢は」

[メイン] 一条 : 吉良吉影、ディアと名乗る少女達の顔。

[メイン] 各務 チヒロ : 「"過ぎて"いる」

[メイン] 一条 : 「…………………」

[メイン] 一条 : ………俺は……今まで……

[メイン] 一条 : 勝ち残るためには……のし上がるためには……『弱者』のことなんか……一切考えなかった……

[メイン] 一条 : ………だが、俺は……結果として……助けられた……慈悲に……

[メイン] 一条 : 俺は、『弱者』になった……それでもなお……こいつらは……生かす道を、選んでいる……

[メイン] 一条 : ………は、はは……ははは……

[メイン] 一条 : なんだよ………

[メイン] 一条 : 俺より……『大人』じゃねぇか………

[メイン] 一条 : 「…………………」

[メイン] 一条 : チヒロの言葉を聞き、ゆっくりと目を閉じ。

[メイン] 一条 : 「………わかった……"降りる"よ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 一条 : ………この街を戦場にしないでくれ、そう言われたしな……。
約束を、違えちまったのもあるし……。

[メイン] 各務 チヒロ : 「わかった」

[メイン] 一条 : ……地下1050年、か……

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ、もう何もしない」

[メイン] 一条 : ククク……上等……

[メイン] 各務 チヒロ : 「もう、引き合う事は無い」

[メイン] 一条 : 行ってやるよ……地下に潜って……泥啜って……

[メイン] 各務 チヒロ : 振り返り、歩き出す

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そうだ」

[メイン] 一条 : 「……………」
チヒロが踵を返したのを見て、床に大の字に転がる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…最後に、名前だけ聞かせて」

[メイン] 一条 : 「……………」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタは」

[メイン] 一条 : 「………一条だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…一条か」

[メイン] 各務 チヒロ : 「少なくとも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「誰も巻き込まなかったことは」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…感謝してる」

[メイン] 一条 : 「………………」

[メイン] 各務 チヒロ : 止めた足を、もう一度動かして

[メイン] 各務 チヒロ : 今度こそ

[メイン] 各務 チヒロ : 去っていく

[メイン] 一条 : ……感謝、か………

[メイン] 一条 : ……帝愛にいて……俺は、ずっと、その言葉を聞いて来なかったな……。

[メイン] 一条 : ……ハハハ……

[メイン] 一条 : ……なんだろうな………悪い気は、しない………

[メイン] 一条 : ………人のために……か……

[メイン] 一条 : 弱々しく、空へと手を伸ばし

[メイン] 一条 : 遠く向こうにある雲を掴まんとし

[メイン] 一条 : ─────そのまま力が抜け、一条は気絶した。

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 :  

[メイン] 一条 :  

[メイン] ビナー :

[メイン] ビナー :

[メイン] ビナー :

[メイン] ビナー : その矢を、手で遊ばせて

[メイン] ビナー : 「……是が噂の矢と云うわけか」

「内に秘める心を現す力、其れを引き出す」

[メイン] ビナー : 「訊いたことのある話だ」

[メイン] ビナー : ……実に興味深い。
そして、是を求める者たちも。

[メイン] ビナー : 「……そろそろだろうか」

[メイン] 各務 チヒロ : ざ、と

[メイン] 各務 チヒロ : 目の前に、立つ

[メイン] 各務 チヒロ : 「…随分なものを拾ったみたいだね」

[メイン] 緑へも : チヒロの後ろ一歩、おずおずと立つ。

[メイン] マホロア : その姿についてくる、小さな影が一つ。

[メイン] マホロア : 「………」

[メイン] ビナー : 「おや」

[メイン] 各務 チヒロ : 「先に聞いてみる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…渡してもらえたりは、する?」

[メイン] 緑へも : 「……」
あれが…”矢”。
……私たちが欲する物。

[メイン] ビナー : 「欲しいのかい?」

[メイン] マホロア : 「ウン。ヒツヨウなんダ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「必要だ、そして」

[メイン] 各務 チヒロ : 「この街には不要なの」

[メイン] 緑へも : 「私は…その手伝いのために」

[メイン] 緑へも : こく、と二人に頷きながら。

[メイン] ビナー : 「そうか」

[メイン] マホロア : 「もしユズレナいモノがアルのナラ…ハナシはキキタいネェ」

[メイン] 各務 チヒロ : ごくりと

[メイン] ビナー : 「特に無い」

[メイン] 各務 チヒロ : …明らかに、感触がない

[メイン] 各務 チヒロ : 「…無い」

[メイン] 緑へも : 「…あ、あれ…?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…無い、か」

[メイン] 緑へも : 「…それなら……先ほどの、チヒロさんの…問いは」

[メイン] 緑へも : 「…どう、なんでしょうか」

[メイン] ビナー : 「だが……」

[メイン] ビナー : 「私は底意地悪くてね」

[メイン] マホロア : 「フム………」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!」

[メイン] 緑へも : 「……!」

[メイン] ビナー : 「少し、悪戯に付き合ってくれるかい?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…何を」

[メイン] マンハッタントランスファー : 警戒の強まりを示すように

[メイン] マンハッタントランスファー : トランスファーを傍に

[メイン] ビナー : きっとその世界は、似ていた。
私の在った其処に似ていた。

[メイン] 緑へも : 「……ッ」
この距離から、あの女性に”ラバーズ”を付けるのは、難しい…なら…

[メイン] ビナー : 其れが私の傍に来たのは

[メイン] ビナー : 何の皮肉か

[メイン] マホロア : 「アラソイはシタクナいネェ…それでもイイのナら」

[メイン] ラバーズ : 先ほどの戦闘の際を繰り返すように。
ぴたりと、トランスファーへと。

[メイン] ビナー : 「『黒、白、黒、白、黒、白、灰色』」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ぁ?」

[メイン] 緑へも : 「……い、ろ…?」

[メイン] 各務 チヒロ : 不可解すぎる、未知には

[メイン] 各務 チヒロ : 解を導き出す数値がない故に、困惑

[メイン] マホロア : 「フム……?」

[メイン] 緑へも : 聞こえたのは、その”何か”。

[メイン] ビナー : 刹那。床をこする音と共に、彼女の傍らに『何か』が立つ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!?」

[メイン] 緑へも : 「え、なに……あれ…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…わからない」

[メイン] マホロア : 「………?」

[メイン]   : objectclass:Euclid その①

[メイン] 緑へも : 思わず、声が零れる。
”スタンド”のようでいて…何か、異質。

[メイン] ビナー : 「私の、幽波紋だ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…警戒して」

[メイン] 緑へも : 「…え、っ、ええ…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「何もわからなくても、"そうするしかない"!」

[メイン] マホロア : 「………ナルホどネェ」

[メイン] 緑へも : 「…しっかり、見逃しません…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「トランスファー!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 拳銃から、三発

[メイン] 各務 チヒロ : 本体を狙って、三つの弾道が伸びる

[メイン] ビナー : 「『一人っきりで怯えて』いたまえ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!?」

[メイン] ビナー : 柱が複数、音を立てて堕ちて。
『其れ』が視界から消える。消えてしまう。

[メイン] 緑へも : 「……また、さっきの…?」
繰り返された、言葉を耳に入れつつ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「な」

[メイン] 各務 チヒロ : 消えた?移動した?

[メイン] 各務 チヒロ : A."わからない"

[メイン] 各務 チヒロ : 推測のしようは、一切ない

[メイン] 彫刻マン : ズ ズ ズ ズ  ズ

[メイン] 各務 チヒロ : 「…は」
息を吞む

[メイン] 緑へも : 見届けられたのは、まばたきの前。

[メイン] 緑へも : では、次。

[メイン] ビナー : 超速で動き出したそれは、再び視界に入れられたことで動きを止める。

[メイン] ビナー : 「おや」

[メイン] 緑へも : ”開いた後”。

[メイン] 緑へも : 「────ッ」

[メイン] 緑へも : 三人の前に立つ、ソレ。

[メイン] マホロア : 「…………」

[メイン] 緑へも : 「なにが…いったい……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…早い!」

[メイン] 各務 チヒロ : 確かに、感じた

[メイン] 各務 チヒロ : "一切の気流の乱れが無かったことを"

[メイン] 緑へも : 冷や汗が、出ない。
逆に言えば。

[メイン] 緑へも : それを出す暇なく、一瞬で。

[メイン] ビナー : 「運が善いようだね」

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーの弱点は多い

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!」

[メイン] 各務 チヒロ : その最たる弱点は

[メイン] 各務 チヒロ : 銃を介するが故に

[メイン] 各務 チヒロ : "スタンドへの攻撃は出来ない"

[メイン] 緑へも : 「…でも、今のうちに撃ち込めば…ッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ」

[メイン] 緑へも : このスタンドが眼下にとらえられている、なら。
防御などに、回す暇など…ないはず。

[メイン] 各務 チヒロ : 容赦は出来ない

[メイン] 各務 チヒロ : アサルトライフルが

[メイン] 各務 チヒロ : 何発も、撃ち放たれる

[メイン] ビナー : 「私を狙う、か」

[メイン] 緑へも : へもの危機感、第六感が。
これは…”ヤバい”と。
鐘を鳴らして、そう叫ぶ。

[メイン] マホロア : 「……スコシ、キいてもいいカナ?」

[メイン] ビナー : ギュ ル ル ル ル ルッ

[メイン] ビナー : 【止 ま れ】

[メイン] マホロア : 「ツキアッテくれとはイッタけド、どれくらいツキアえばいいのカナ?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] ビナー : objectclass:Euclid→Keter その②

[メイン] 緑へも : 「……ぇ」

[メイン] ビナー : 突如『生えた』標識が、その銃弾を弾く

[メイン] 各務 チヒロ : 「…標識」

[メイン] 各務 チヒロ : 「クソッ、スタンドが…二つ!?」

[メイン] ビナー : 「違うね。『同じ』スタンドさ」

[メイン] 緑へも : 「…そんな、聞いた話だと、一人一つじゃ……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「まさか…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「"複数のスタンドの能力"か」

[メイン] マホロア : 「……ナルホどネ」

[メイン] 緑へも : 手を握りしめる。ぬるりと、滑っていた。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でも」

[メイン] 緑へも : 「…複数の、能力…!?」

[メイン] マホロア : 「あるいは、フクスウのスガタか」

[メイン] 各務 チヒロ : 「矢は貰う、から」

[メイン] ビナー : 「人の奥底に眠る恐怖、または『意地の悪い人間の話す怪談』」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 緑へも : 「そんなの、存在するんですか……っ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「恐怖の姿、か」

[メイン] ビナー : 「其れを心の中から引きずり出す」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…成程」

[メイン] 各務 チヒロ : 「つまり、その標識も彫像も」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタが覚えた形の一つを引っ張り出しただけ、か」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…規格外すぎる」

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 目を細める、恐怖とは一つではない

[メイン] ビナー : 「名づけるとすれば」

[メイン] 各務 チヒロ : 未知、脅威、又は酷くマクロな感情

[メイン] ビナー : 「『リメンバー・アス』」

[メイン] 緑へも : ひゅお、と息を吸う。
心臓の鼓動が高まりを覚えて。

[メイン] 緑へも : 人の恐怖を、引きずり出す。
私が”今”も、こうして……”恐怖”しているように…

[メイン] ビナー : 「恐怖を忘れるな」

[メイン] 各務 チヒロ : 「……忘れやしない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私には、勇気を以て恐怖を乗り越える必要があるッ!」
たとえそれが…

[メイン] 各務 チヒロ : 解の見えない不可解なる変数の塊だとしても

[メイン] 各務 チヒロ : ライフル弾を、一発

[メイン] 緑へも : 「………ッ、あっ…!」

[メイン] 各務 チヒロ : トランスファーは、再び弾くが

[メイン] 各務 チヒロ : 今度は上空

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタ、名前は」

[メイン] 緑へも : ”恐怖”を、輝くその言葉で払われたように。
思い直し、彼女を見据える。

[メイン] ビナー : 「名?……はて。どう名乗ったものか」

[メイン] 各務 チヒロ : 「名前は必要でしょ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…名付けられる程、曖昧でもない筈」

[メイン] ビナー : 「そうだな、あの後にああ返すのも無粋だ」

[メイン] ビナー : 「ビナーとでも呼ぶがいい」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「なら、ビナー」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタは私が乗り越えなくてはいけない恐怖、そのもの」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…忘れない、そして」

[メイン] 各務 チヒロ : 「負ける気はない!」

[メイン] 各務 チヒロ : アサルトライフルを、残弾すべて打ち尽くす

[メイン] 各務 チヒロ : トランスファーが、幾つかを弾き

[メイン] 各務 チヒロ : 攻撃は、二面

[メイン] ビナー : 「おっと。彼が寂しがっているようだよ」

[メイン] 緑へも : ────チヒロさん…!

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!」

[メイン] ビナー : ズ、擦る音と共に彫刻が動き出す

[メイン] 各務 チヒロ : 腰に溜めた拳銃を、目の前の"像"に撃つが

[メイン] 各務 チヒロ : その弾丸は、スタンドに傷を与える事は無い

[メイン] 緑へも : 「……ッ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「離れてッ!!」

[メイン] 緑へも : …ただ、不可解一つ。
なぜ、先ほどは止まっていたのに……今、”目”を外したら、動いた。

[メイン] ビナー : 自らに飛来する銃弾、それを

[メイン] ビナー : objectclass:Safe

[メイン] ビナー : 黒い穴が、吸い込む

[メイン] 各務 チヒロ : 「…くッ」

[メイン] 緑へも : 「…ッ、いえ、こちらは私が────」

[メイン] 各務 チヒロ : 打った弾丸は、吸い込まれる

[メイン] 各務 チヒロ : 見当違いの方…ビナーを狙っていない一発を除いて

[メイン] ビナー : 「?」

[メイン] 緑へも : 視界に入れたのならば、この彫刻は動かなかった。
なら、ずっと見続ける。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…アンタ、知ってる?」

[メイン] ラバーズ : ────潜ませたラバーズによって、目の筋肉を固定する。

[メイン] 各務 チヒロ : 「祝砲を空に向けて打って、その落ちてくる弾丸に当たって起きる事故は毎年あるの」

[メイン] ビナー : 「ほう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「はるか空に撃たれた弾丸は、そのまま重力で炸薬に等しい加速を得る…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…さあ、そろそろ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「さっきの一発が落ちて当たる!」

[メイン] 各務 チヒロ : 見当違いの一発は

[メイン] ビナー : 「そうか……!」

[メイン] 各務 チヒロ : その前のもう一発に命中

[メイン] 各務 チヒロ : 「"第2の跳弾"ってところね」

[メイン] ビナー : 手から叩き落とされる

[メイン] ビナー : 『矢』…!

[メイン] 各務 チヒロ : 背後からの一発で、なんとか

[メイン] ビナー : 「おや」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふぅ…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「トランスファー!」

[メイン] マンハッタントランスファー : その落ちた矢を

[メイン] 緑へも : 「……!」
声や、音が鳴らす事は。何が起きたのかを知らせてくれる。

[メイン] マンハッタントランスファー : 射出と認識し、弾く!

[メイン] 各務 チヒロ : 「"矢"は」

[メイン] 各務 チヒロ : 「貰うよ…ビナー」

[メイン] 緑へも : 「……チヒロ、さんっ…!手に入れ、ましたか…!」

[メイン] ビナー : 「追跡しろ」

[メイン] 緑へも : ぐぐ、視界の内に入れたまま。

[メイン] ビナー : objectclass:Keter

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ!」

[メイン] 緑へも : 「……ま、た…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「マホロア!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「矢を…早くッ!」

[メイン] マホロア : 「………!!」

[メイン] ビナー : 青白い人影がそこに顕現する

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!?」

[メイン] マホロア : 「……わかったヨォ!!」

[メイン] 緑へも : 「………っ、チヒロさん…もッ!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「違う!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「焦点は『矢』!」

[メイン] マホロア : 素早く動き、矢を手に取る

[メイン] 各務 チヒロ : 「へものすべきは、マホロアの護衛!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は、ここで食い止めるしか、無い!」

[メイン] 緑へも : 「………ッ」

[メイン] 緑へも : 私は…皆さんのために、動く……
そして、そのきっかけを与えたのは、チヒロさんで……
その彼女が、今。

[メイン] 緑へも : でも、だから、こそ。

[メイン] ビナー : 雄たけびと共に人影が、『視認』した対象への猛追を開始する

[メイン] 各務 チヒロ : 「…!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「逃げて!!」

[メイン] 各務 チヒロ : リロード、その間とて数秒

[メイン] マホロア : 「…………!!」

[メイン] 緑へも : 「絶対、また会いますから、ね…!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ええ」

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーは、決して

[メイン] 各務 チヒロ : 敵の目の前に立って戦うスタンドでは、無い

[メイン] マホロア : 矢を無くさないよう、大事そうに持ち。

[メイン] ラバーズ : ぐい、と。
へもの体の一部を、ひっぱる。

[メイン] 緑へも : 「『仲間』なんです、から────」
マホロアを抱えたまま。

[メイン] 緑へも : 体が、跳ぶ。

[メイン] マホロア : 「ムリはシナイでネ!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「出来たら、ね」
息を吐く

[メイン] ビナー : 【落 石 注 意】

[メイン] 緑へも : ダメージを、自らに与えて。
痛みにも、『仲間』への『愛』で耐えながら。跳ぶ。

[メイン] ビナー : 「逃げ道には気を付けたまえ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「落石…まさかッ!?」

[メイン] 緑へも : 「……な」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…マンハッタントランスファー!!!」

[メイン] マホロア : 「………!?」

[メイン] 緑へも : 眼上にせまる、巨石────

[メイン] マンハッタントランスファー : チヒロの盾になる筈だったそれは

[メイン] マンハッタントランスファー : へもの上空に移動し

[メイン] 各務 チヒロ : チヒロの身は

[メイン] 各務 チヒロ : 既に、盾は無い

[メイン] 緑へも : ”スタンド”が 防ぐ

[メイン] ビナー : 一撃、その手が迫る

[メイン] 緑へも : 彼女の チヒロさんのもの が。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…くっそおおおおおッ!!」

[メイン] 各務 チヒロ : もはや、その身でしか受けることは出来ない

[メイン] マホロア : 「チヒロ……!?」

[メイン] 緑へも : 「…ち、っ…ひろ、さん……!!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ぐ、が、ああ、がッ…」

[メイン] 緑へも : 跳ぶ前には、障害物が消え。

[メイン] 各務 チヒロ : 「岩、岩、か…本物だ」

[メイン] 緑へも : 手を伸ばしてもそれに対応することなく、体は反射的に跳び続ける。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でも、アンタの」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタの射程は、もう…負けない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「マンハッタントランスファーは、何kmだって…彼女を守る…」

[メイン] 各務 チヒロ : ふらつく体で、膝をつく

[メイン] ビナー : 「『範囲』では駄目か」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…まだ、手があるっての…」

[メイン] 各務 チヒロ : 砕けた眼鏡を、投げ捨てる

[メイン] ビナー : 「集中。あの子と遊んでおやり」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 軋む骨を鞭打って

[メイン] 各務 チヒロ : 何とか立ち上がる

[メイン] ビナー : objectclass:Keter
objectclass:Keter

[メイン] 各務 チヒロ : ひび割れが、激痛を訴える

[メイン] ビナー : どろり。

[メイン] ビナー : 其処に人間のようなものと爬虫類が実体化する。

[メイン] ビナー : 「少し選択が陳腐だったか」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…く、ぅ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「少なく、とも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…どうなっても…諦めない、けどね」
吐いた血を拭って

[メイン] ビナー : 陳腐、とこぼした彼女の肩から『グレイ』の姿が揺らめいて消えた

[メイン] 各務 チヒロ : とは、いえ

[メイン] 各務 チヒロ : ああ、もうメモリも手札もない

[メイン] 各務 チヒロ : 導き出す解は全部『死』

[メイン] 各務 チヒロ : …私には、出せる変数は無い

[メイン] ビナー : 「もう、御仕舞かな?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…"さあね"」

[メイン] 各務 チヒロ : それでも答えは明示できやしない

[メイン] 各務 チヒロ : そう、どんな状況にも

[メイン] 各務 チヒロ : 奥に一つの、"バグ"はあると

[メイン]   : ギャリ……ギャ……リ…

[メイン] 各務 チヒロ : 良くも悪くも、信じるだけだ

[メイン]   : ギャリギャリギャリギャリ

[メイン]   : 異音が迫る

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 最期まで見据える、最期まで

[メイン] ビナー : 「おや」

[メイン]   : チヒロの影に隠れ、ひっそりとビナーに向け行進する異音の主

[メイン] シアーハートアタック : 姿を表した途端

[メイン] シアーハートアタック : 「コッチヲミロッ!!」

[メイン] ビナー : 「おやおや」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ!?」

[メイン] シアーハートアタック : 風情も何もない無骨な突撃、そして

[メイン] 各務 チヒロ : 違う…スタンド?

[メイン] シアーハートアタック : カチリ

[メイン] ビナー : 「ッ」

[メイン] シアーハートアタック : 撃鉄を下ろす音、と共に呆れるような爆音が恐怖の群れへと襲いかかった

[メイン] ビナー : objectclass:Safe

[メイン] ビナー :
どうして?
 W h y?

[メイン] ビナー : 爆風の中から、装甲が垣間見える

[メイン] ビナー : 「……これを纏う必要もなかったか」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ぐッ、ううう」

[メイン] 各務 チヒロ : 爆風に、弾き飛ばされる

[メイン]   : 爆風の中に、爆弾の姿はない

[メイン]   : ギャリギャリギャリギャリ

[メイン]   : なのに

[メイン]   : ギャリギャリギャリギャリ

[メイン] 各務 チヒロ : なにが…起きてるの!?

[メイン]   : 音は、もっと大きく聞こえるようになる

[メイン] ビナー : 「何?」

[メイン] 各務 チヒロ : 身をよじり

[メイン] シアーハートアタック : 音の方へ、眼を向けたなら

[メイン] 各務 チヒロ : どうにかして、距離を取る

[メイン] シアーハートアタック : 先ほどの爆弾戦車が、肩に乗っている

[メイン] シアーハートアタック : カチリ

[メイン] シアーハートアタック : 再び全てを眩ます大爆発
爆音のドラムロールが鳴り響く

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッあああああッ!?」

[メイン] ビナー : 「おっと」

[メイン] 各務 チヒロ : さらに弾け飛ばされる

[メイン] : ━━しかし、その身体は、柔らかいものに受け止められ。

[メイン] ビナー : 「ハーネスが……流石に性能の完全再現は不可能という事か」

[メイン] : 「どいといた方がいいわよ。危ないから」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ぇ?」

[メイン] : ふわりと━━上空に浮き上がる。

[メイン] 各務 チヒロ : ゆっくり、見上げる

[メイン] : 「……はぁ。面倒な協定結んだものね、本当に……本来なら、死んだあなたから矢を回収して終わり、のはずだったのに」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…アンタは?」

[メイン] モネ : 「名乗るほどの者じゃないわ。……それより、ちゃんと見てるんでしょう?最後まで」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…成程」

[メイン] 各務 チヒロ : ぐったりと、しながらも

[メイン] 各務 チヒロ : 出来るだけ安全な場所に、避難する

[メイン] ヴィオレタ : 「おおっと……大丈夫ですか、お嬢さん」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……あの爆弾、初めて使うが派手が過ぎたな」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…三人!?」

[メイン] ビナー : 「新手か」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……そちらの君に、聞きたい事があったので来たのだが」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…何」

[メイン] ヴィオレタ : チヒロに肩を貸す。

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「地味に窮地だったようなので、派手に助け船を出したが…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「っっつ…」

[メイン] 各務 チヒロ : 全身が悲鳴を上げている、いろいろ限界だ

[メイン] キラークイーン : スタンドを展開し、シアーハートアタックを回収する

[メイン] ヴィオレタ : 「こんなに無理をして…大変でしたね、お嬢さん」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……すまない、派手に爆発させ過ぎた」
「怪我はあるだろうが、怨まないでくれ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「問題、無い…それより」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ビナーを…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 少なくとも…

[メイン] 各務 チヒロ : 私に心配している余裕なんか"無い"!

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……ビナー、そういう名前だったか」

[メイン] ビナー : 「荒っぽくなるが、纏めて往こうか」

[メイン] モネ : 「……ねぇ……その爆弾、最大出力は?」

[メイン] ビナー : objectclass:KeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeterKeter

[メイン] ヴィオレタ : 「あー姉さん、悪いがCD渡してくれ。生身じゃ無理だ」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「返すぞ」
ディスクを投げ渡す

[メイン] ヴィオレタ : 受け取り装填。

[メイン] ヴィオレタ : 「ありがたいよ、レイア姉さん!」

[メイン] 各務 チヒロ : あれは…"DISC"

[メイン] ビナー : 444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444444

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「何が起こっているんだ?」

[メイン] ビナー : 視界が、赤く染まる

[メイン] ビナー : 認識が、染め上げられて

[メイン] ヴィオレタ : 「………?」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「なるほど、つまり……」

[メイン] 各務 チヒロ : あ、かい…?

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「派手にやばいから、お前を倒せばいいんだな?」

[メイン] モネ : 「……ねえ、そこの少女。あいつは……何?」

[メイン] キラークイーン : 問答無用、キラークイーンを呼び出すと本体へ向かい殴り掛からせる

[メイン] 各務 チヒロ : 「恐怖を…操ってる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「いくつもの恐怖を…能力として」

[メイン] ビナー : 「……ほう、認識を振り払うか」

[メイン] ビナー : 「やはり、完全再現は出来ていないね」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……意味深な言動が地味に多い奴だな」

[メイン] キラークイーン : 突貫、ただそれだけ
触れさえすれば勝てるのだから、まずはそうして倒すのみ

[メイン] ビナー : その拳が触れる前に

[メイン] ビナー : number-001

[メイン] ビナー : 光が、その拳を防いで

[メイン] キラークイーン : 「光の…壁ッ!?」

[メイン] ヴィオレタ : 「くそっ…見えねぇ…」
手探りで青林檎を探し、齧る

[メイン] モネ : 「……成程。何でもアリじゃない」

[メイン] ヴィオレタ : 視力は回復する、が…

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「チッ!派手に不明瞭な事ばかり!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…あれは!」

[メイン] ヴィオレタ : 「なんだよあれ…やべえな」

[メイン] 各務 チヒロ : 「全部操ってる恐怖よ、だから」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…意識外までは、対処できない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「スタンドではなく、現象を起こしてることに近いから」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……なるほど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「細かい操作は、できていない!」

[メイン] 各務 チヒロ : 少なくとも…先程の背後からの弾丸がそれを示している

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……不意打ちか、誰が得意だ?」

[メイン] ヴィオレタ : 「…一発限りなら使えるよ、姉さん」

[メイン] ビナー : 「作戦会議は済んだかい?」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「期待している、では……陽動はワタシがやろう」

[メイン] ヴィオレタ : 「任せた!」

[メイン] キラークイーン : カチリ

[メイン] ビナー : objectclass:Apollyon

[メイン] キラークイーン : 光に触れた、爆弾に変えて爆破する

[メイン] キラークイーン : そして、壁が消えたのを確認すれば、爆炎ごと殴り抜きながら特攻開始

[メイン] モネ : 素早くビナーの元に。

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「思う存分対処してもらうぞ、何せこちらはソレしかできないしな!!」

[メイン] モネ : 「あくまで操ってるのが人間なら!視界を奪われるのはまずいんじゃないかしらッ!?」

[メイン] ビナー : CODE NIGHTMARE REGENT RED

[メイン] ビナー : 「……!」

[メイン] モネ : 「『雪嵐』ッ!!」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「『シアーハートアタックッ!』」

[メイン] モネ : 大小の雪の粒が、竜巻によって巻き上がり……対象の視界を奪う。

[メイン] ビナー : 「……しまった、完全顕現前に」

[メイン] ヴィオレタ : 「……………!」
素早く駆け上がる

[メイン] ヴィオレタ : そして奴の背後に回り込み

[メイン] ヴィオレタ : 名は…そういえば、ちゃんと見てなかったけど…アレが相応しいか

[メイン] ヴィオレタ : 「シルバー・チャリオッツ!」

[メイン] ヴィオレタ : シルバーチャリオッツを出し

[メイン] ビナー : 「ッ」

[メイン] ヴィオレタ : 放つ

[メイン] ヴィオレタ : 「撃て!」

[メイン] ヴィオレタ : チャリオッツの剣先が奴の…首元へと弾き飛ばされる

[メイン] ビナー : サク

[メイン] ビナー : 首筋に、それは突き刺さり

[メイン] ビナー : 悪夢が、覚めていく

[メイン] ヴィオレタ : 「……………!」

[メイン] モネ : 「やった……!?」

[メイン] ビナー : 「ま、だ」

[メイン] ビナー : objectclass:Thaumiel

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……まだだッ!!」

[メイン] ヴィオレタ : 「なっ……!」

[メイン] シアーハートアタック : 突進を開始する戦車、それを

[メイン] キラークイーン : さらにサッカーボールみたいにビナーへ向かい蹴り込んだ

[メイン] モネ : 「……っ!」

[メイン] ビナー : 「やり、直し……だ……?」

[メイン] ビナー : 爆発。

[メイン] モネ : 「『カマクラ十草紙』!!」

[メイン] シアーハートアタック : 『──ッッ!?ァァ!!!』

[メイン] モネ : さらに、その爆風を…ビナーの周りだけ、何重にも抑え込んで。

[メイン] シアーハートアタック : 爆風と共に、再びシアーハートアタックが転がり落ちる

[メイン] ビナー : その身は、吹き飛ばされて

[メイン] ビナー : ……そうか。やり直しなど、叶うわけが

[メイン] ビナー : 「まだ、だ。恐怖は、まだ残って」

[メイン] ビナー : objectclass:ALEPH

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「もういいだろう、これ以上。恐怖を与えてどうする気だ」

[メイン] ビナー : 「……あ?」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……いや、そもそも」
「何故、こんなことを…?」

[メイン] モネ : こくりと。

[メイン] ビナー : 瞬間。

[メイン] モネ : 「……本当に恐怖から逃げたいのは、あなたでしょう」

[メイン] ヴィオレタ : 「……姉さんの言う通りだ」

[メイン] ビナー : その身体を、翼が引き裂いて

[メイン] ビナー : 「これ、は、私、の。居た……」

[メイン] ビナー : 「……そうか」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 事態に理解が追いつかず
戦闘体制を取りつつも見守っている

[メイン] ビナー : 「想像力が、足りなかったか」

[メイン] ヴィオレタ : 「………………」

[メイン] ビナー : 「『恐怖』の、弾切れのようだ」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……そうか」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「なら休むといい、眠れない理由も消えただろう」

[メイン] ビナー : 次の瞬間、彼女の体からは指揮棒や白い羽根、目の付いた肉塊が突き出して。

[メイン] ビナー : 「……今から起きるのさ」

[メイン] ビナー : 「善い夢を見れた」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……では、さようなら」
「名も知らぬ人、せめて良い朝を迎えてくれ」

[メイン] ビナー :

[メイン]   :

[メイン] : … … … …

[メイン] ヴィオレタ : 「………本当に…倒したのか?」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……さあな」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「倒したかどうかはわからないが、ここにはもう来ないさ」

[メイン] モネ : 「……それで。それに見合うだけの対価は得られたの?レイア」

[メイン] ヴィオレタ : 「…そうか、レイア姉さんが言うならそうだな」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……それも、残念ながらわからない」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「あの存在がディスクを生み出していたのか、そんな事を確かめる暇もなかったからな…」

[メイン] モネ : 「……はぁ。約束が違うじゃない……それに」

[メイン] モネ : 「そっちの子は……どうするの?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は、行く」

[メイン] ヴィオレタ : 「肩を貸すぜ、お嬢さん」

[メイン] 各務 チヒロ : ぐっと、立ち上がり

[メイン] 各務 チヒロ : 「…大丈夫」

[メイン] モネ : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「会うべき子がいる、私を待ってるから」

[メイン] 各務 チヒロ : 踵を返して

[メイン] ヴィオレタ : 「おいおい、無理をするなって…」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……待ちたまえ、聞かねばならない事がある」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…」

[メイン] 各務 チヒロ : 振り返る

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「君は、“ディスク”について何か知らないのか?」
「先程は『矢』を持っていたようだが……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ディスクに関しては」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…誰が作れたか、は知っている…けど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…その人が生きてるとは、思わない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「居たとしても、この街には居ない」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……そうか、ありがとう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…名は」

[メイン] 各務 チヒロ : 「エンリコ・プッチ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「その能力は、ホワイトスネイク」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…それしか、知らない」

[メイン] ヴィオレタ : 「あー聞いた事ねぇな……」CDを取り出し、レイアへと渡す

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……そうだな、ワタシも聞いた覚えがない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そう、だね」

[メイン] レイア・ダラーヒム : ディスクを受け取り、キラークイーンのシャッターに収める

[メイン] モネ : 「……じゃ、DISCがこれ以上増えたり……は、当面心配しなくてよさそうね」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…多分ね」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…じゃあ、さようなら」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「ああ、ごきげんよう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ありがとう」

[メイン] 各務 チヒロ : 頷き

[メイン] 各務 チヒロ : そのまま

[メイン] 各務 チヒロ : そこを、後にした

[メイン] モネ : 「……」

[メイン] ヴィオレタ : 「………行っちまったな」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……彼女は、彼女の『真実』を目指すのだろう」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「そこが何処であろうと、どうあろうと」

[メイン] モネ : 「……かっこいいとこ悪いけど、矢を回収する手筈だったじゃない。あの子の手に渡って私が任務失敗にでもなったらどうしてくれるのよ」

[メイン] ヴィオレタ : 「あー、矢の事すっかり忘れてたな…レイア姉さん、今からでも追いかけるか?」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「運命とは、どうにも数奇な物だ」
「今は彼女達が進む手番と思っておこう」

[メイン] モネ : 「はぁ」

[メイン] ヴィオレタ : 「了解だ」

[メイン] レイア・ダラーヒム : 「……疲れもある、今は休息だ」

[メイン] レイア・ダラーヒム : また放るように言葉を告げると、歩き出した

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] レイア・ダラーヒム :  

[メイン] マホロアソウル :  

[メイン] マホロアソウル :  

[メイン] マホロアソウル : 「アッハハハ………!!」
理性を失いつつある、奇声を放つ存在

[メイン] 各務 チヒロ : 「マホロア…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…どうして…」

[メイン] 緑へも : 「……マホロア、さん…!」
ぐ、と歯を噛み締めるが。

[メイン] マホロアソウル : 「欲シカッタ、ズット、ズット」

[メイン] マホロアソウル : 「アハッアッハハハッッハハ……!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ッ」

[メイン] 緑へも : 「…ダメです……もう…聞こえてない……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…いい」

[メイン] 各務 チヒロ : 「なら、絶対」

[メイン] 各務 チヒロ : 「引き戻して、問いただしてみせる」

[メイン] 緑へも : 「……!」

[メイン] 緑へも : 「…はいっ…!!」

[メイン] マホロアソウル : 「…………ッッッ!!!!」

[メイン] マンハッタントランスファー : 衛星が飛び出す

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は…絶対に止まらない、絶対に」

[メイン] 各務 チヒロ : 「街を…皆を…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「……アンタを、守ると言ったのだから!」

[メイン] 各務 チヒロ : ライフル弾を打ち出す

[メイン] 各務 チヒロ :

[メイン] マホロアソウル : 龍の形をした炎を、二人に向かって放つ。

[メイン] 緑へも : ……そうです、それが…チヒロさんの…”解”。
弱気になっちゃ…ダメ、ですね…!

[メイン] 各務 チヒロ : 飛び出す弾丸は、熱量に蒸発する

[メイン] 各務 チヒロ : 「…トランスファー!!」

[メイン] マンハッタントランスファー : 射出される、炎のエネルギーを

[メイン] マンハッタントランスファー : その絶対的な法則で、エネルギーをひっくり返す

[メイン] 各務 チヒロ : 尤も…至近距離まで近づく炎にその身を焦がされたが

[メイン] マホロアソウル : 「………ッッッ!!!!」
その自ら出した炎を、自分の身で受ける。

[メイン] 緑へも : 「……ッ…あ、トランスファー…!」
そのまま突然現れた炎は、直撃せず。

[メイン] 各務 チヒロ : 「へも…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は、諦めないから」

[メイン] マホロアソウル : 「アハッ……アッハッハッハ」
爛れるいくマホロアの姿、しかし

[メイン] 各務 チヒロ : 「…信じてくれる?」

[メイン] 緑へも : 「勿論、です」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…なら、じゃあ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…目標は、一つ!」

[メイン] マホロアソウル : 熱量を帯びたその様相は、更に禍々しく、激しい姿へと様子を変える。

[メイン] 緑へも : 「だから、チヒロさんも…諦めないで、ください…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ、諦めない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「絶対に、絶対に…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私たちの"解"の為にッ!」

[メイン] 緑へも : 「はいッ…!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 銃弾を、幾つか

[メイン] マホロアソウル : 自身のたまった熱量を、一つ、大きな球形にして放つ。それと同時に

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ!」

[メイン] 緑へも : 「…ラバーズ…」

[メイン] 各務 チヒロ : 鋼の弾丸は、融解する

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ラバーズ!?」

[メイン] マホロアソウル : 自らの身体にも熱を纏わせて、二つの球体が、二人に迫る。

[メイン] 緑へも : 自らの頭に、寄生させて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ!!!」

[メイン] 各務 チヒロ :

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私は」

[メイン] 緑へも : 「……捕まってて、ください…!!」
チヒロさんを抱きかかえようと……

[メイン] 緑へも : 「……」

[メイン] 各務 チヒロ : 「"いや"」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…へも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ラバーズを私に」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…力を貸して…私の」

[メイン] 緑へも : 目下にせまる、その火球。”無茶”なんてしていたら、私たちは燃え尽きる。

[メイン] 各務 チヒロ : 「もう届かないのは…おしまいにしたいの!」

[メイン] 緑へも : ────指先を、チヒロへと。

[メイン] 緑へも : 「計算済み、なのは…わかってます」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…計算は済んだ、けど」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…でも、ここから先は」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私達だけが出す答え」

[メイン] 各務 チヒロ : 「どんな数字でも、プログラムでも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「此処から先の答えは出ない」

[メイン] 緑へも : 「それでも、解いてみせるんですか?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…当り前よ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は各務チヒロ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ヴェリタスの副リーダー、そして」

[メイン] 各務 チヒロ : 「この街の、ただの住人」

[メイン] 各務 チヒロ : 額に手を当てると

[メイン] 各務 チヒロ : するり、と

[メイン] 緑へも : その答えに、にこりと笑って。

[メイン] 各務 チヒロ : "マンハッタントランスファー"のDISCを取り出す

[メイン] 各務 チヒロ : 「ラバーズ!私の指先に!」

[メイン] 各務 チヒロ : もう"見えない"彼女の力に頼み

[メイン] ラバーズ : 塵程の感覚のような。

[メイン] ラバーズ : 『マギィーッ!!』と叫んだ、ような。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…知ってる?私はね…本当は」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ただの一概のハッカーで…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「こんな一枚の"DISC"のデータを組み替えるなんて…訳ないってのよ…!」

[メイン] 緑へも : 「……!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 全部、知っている

[メイン] 各務 チヒロ : 記憶は見た

[メイン] マホロアソウル : 「アッハ…!!」

[メイン] 各務 チヒロ : ジョンガリ・Aも、プッチも

[メイン] 各務 チヒロ : このDISCの根幹、マンハッタントランスファーも

[メイン] 各務 チヒロ : …でも今は、ごめん

[メイン] 各務 チヒロ : その力じゃ、超えられない…だから!

[メイン] 各務 チヒロ : 記憶の、一番先

[メイン] 各務 チヒロ : 戦う姿、糸の収束

[メイン] 各務 チヒロ : もう一つ、別のスタンドのデータを組み上げる為に

[メイン] 緑へも : 『そんな事本当に、出来るんですか』なんて言葉は飲み込んで。
今は『仲間』を信じる。

[メイン] 各務 チヒロ : マンハッタントランスファーの形を改変し、その力を記憶をもとに改竄

[メイン] 各務 チヒロ : ラバーズは、確かに

[メイン] 各務 チヒロ : 私の脳に張り付いてそこにある"記憶"をDISCに伝える

[メイン] 各務 チヒロ : だから…記憶のまま

[メイン] ラバーズ : ────組み替える。

[メイン] 各務 チヒロ : 総てを

[メイン] ラバーズ : ────組み替える。

[メイン] 各務 チヒロ :
オーバーライド
その記憶の全てを組み換えたした

[メイン] マホロアソウル : 「アハハ!!!アハハハハ!!!!」

[メイン] マホロアソウル : 不適にケタケタと笑いだす。

[メイン] 緑へも : 「……っ、一体、何が…出来るんですか…!?」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…名乗らないとね」

[メイン] 各務 チヒロ : 改ざんしたDISCを

[メイン] 各務 チヒロ : もう一度、突っ込む

[メイン] 緑へも : 私の”ラバーズ”は、もう動き終わり、もう…”組み換え終わった”あと。

[メイン] 緑へも : 「……!」

[メイン] 緑へも : チヒロさんに飲み込まれていく、新たな”記憶”が。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…私のスタンドは」

[メイン] ストーンフリー : 「『ストーンフリー』」

[メイン] 各務 チヒロ : 「そう…彼女は名乗っていた!」

[メイン] 緑へも : 「ストーンフリー……」

[メイン] 各務 チヒロ : 地面に手を当てると

[メイン] ストーンフリー : 瞬時に糸が伸びて

[メイン] ストーンフリー : パチンコの要領で

[メイン] ストーンフリー : 二人を上空に弾き飛ばす

[メイン] 緑へも : スタンドが表すのは、精神力。
では…この、圧は……!?

[メイン] 緑へも : 「わわっ……!?すごい、スタンドパワー…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「マホロア…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタは、間違えた!」

[メイン] マホロアソウル : 二つの球体は熱量を増して、スパークを起こしている。
それに伴い、マホロアの身体はどことなく崩れていく。

[メイン] 各務 チヒロ : 「力という『結果』に目が眩んで」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ソレが齎す『過程』はすべて、見落としている」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…へも!」

[メイン] 緑へも : 「はいっ!」

[メイン] 緑へも : ふわり、と飛んだまま。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ラバーズを、拳に乗せて」

[メイン] 各務 チヒロ : 「大丈夫、絶対届く」

[メイン] 各務 チヒロ : 「力も貸す」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…一緒に矢を、砕こう!」

[メイン] 緑へも : けれど、”最弱”は吹き飛ばされずに。

[メイン] 緑へも : 「…ええ、一緒に」

[メイン] ストーンフリー : ストーンフリーは

[メイン] ストーンフリー : ぐっと、拳を構える

[メイン] ラバーズ : 生まれ出た彼らは、その拳を。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ、行くよ…!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッオオオオラアアアッッッ!!!!」

[メイン] 緑へも : 「……ばっちしですッ…!!」

[メイン] ストーンフリー : 右腕に、ラバーズを乗せて

[メイン] ストーンフリー : マホロアの王冠へ、一直線に

[メイン] ラバーズ : ────ラバーズの射程は、数百キロ。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ストーンフリーッ!!!」

[メイン] ラバーズ : 消えることがなく、その拳へと乗ったまま。

[メイン] 各務 チヒロ : 「ラバーズの、鎧に…武器になって!!」

[メイン] ストーンフリー : 拳は、一気に解けて

[メイン] ストーンフリー : 飛び出すラバーズを包み込む

[メイン] 各務 チヒロ : 「さぁ、二人で…」

[メイン] 各務 チヒロ : 「一気に、決めようか…!」

[メイン] ラバーズ : 燃え焦がれる、そのマホロアに近づく分だけ。
しかし、その”鎧”によって守られ。

[メイン] 緑へも : 「…ええ、マホロアさんを…」

[メイン] 緑へも : 「あんな、『石』から『自由』にしてやりましょう!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「ああ…それが私たちの"解"!!」

[メイン] ストーンフリー : ラバーズを導くように

[メイン] ストーンフリー : マホロアに食い込むその矢への

[メイン] ストーンフリー : "ラッシュの角度を提示する"

[メイン] ラバーズ : 赤い糸でつながれていたように。
その石へと、導かれて。

[メイン] 各務 チヒロ : 「これがいい、ここだ」

[メイン] マホロアソウル : 「アッハァ……!!アハハハハ!!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…此処が一番!」

[メイン] 各務 チヒロ : 「拳を叩き込みやすい角度、だ」

[メイン] 各務 チヒロ : にやりと、へもに笑みを

[メイン] 緑へも : 「ふふ、そうですね」
その笑みを受けて、笑い。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…さぁ…」
息を吸って

[メイン] 各務 チヒロ : 全ての精神力を、そこに

[メイン] ストーンフリー : そのまま、それは一息に始まる

[メイン] ラバーズ : ────記憶の中にあった、ある一つの『殴り方』

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッおおお…オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ───ッ!!!!」

[メイン] 緑へも : 今は、『仲間』への『愛』を────

[メイン] ストーンフリー : ラバーズの拳は、鋼に

[メイン] 緑へも : 「はぁぁ……オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッッッ!!!!」

[メイン] ストーンフリー : 全てを終わらせるために、この一瞬の為に

[メイン] マホロアソウル : ただ球体を纏わせて突進していくだけのマホロアは、ただその連撃を無造作にくらう。

[メイン] ストーンフリー : 無数の拳を、たった数cmの"ラッシュ"

[メイン] ラバーズ : 一人であれば、髪の毛一つも食らわせられない非力なスタンド

[メイン] ラバーズ : しかしてその拳は、鋼のごとし。

[メイン] ストーンフリー : そして、間もなく

[メイン] マホロアソウル : 熱に歪んだ王冠の元に
二人の攻撃が届く。
遮るものはなにもない。

[メイン] ストーンフリー : マホロアの『魂』を縛る『檻』は

[メイン] ストーンフリー : 二人の拳で、砕けて行く

[メイン] 各務 チヒロ : 「ッ…オラァアアアッ!!!!」

[メイン] ストーンフリー : 渾身の、一発を

[メイン] マホロアソウル : 砕けると同時に、二つの球体はその熱量を下げていく。

[メイン] 緑へも : 「オラァアアアアッ!!」

[メイン] ラバーズ : 一発は、王冠へと

[メイン] 各務 チヒロ : 「これで…『解』は示した」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…おしまいよ、マホロア」

[メイン] マホロアソウル : 突進は勢いを失い、その身体は地面に倒れ込む。

[メイン] 各務 チヒロ : 「これが、運命」

[メイン] 各務 チヒロ : 「これが、引力」

[メイン] 各務 チヒロ : 「アンタと、私達は引かれあって」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…そして、終わらせる」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…仕組まれていたかはわからない、誰にも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも、確かなのは」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…アンタは『運命』に負けたの」

[メイン] マホロアソウル : 全身を覆う異形は成りを潜めていく。
巨大化した身体は縮んでいく。

[メイン] 緑へも : ふわりふわりと飛んでいた体も、ゆっくりと落ちていき。

[メイン] ストーンフリー : 二人を、ぐっと捕まえる

[メイン] 緑へも : 「その『引力』の中で、私たちは出会う……なんて」

[メイン] 緑へも : 「『奇妙な物語』ですね」

[メイン] マホロア : 「………………」

[メイン] 緑へも : ぴたり、と。地面におろしてもらって。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…マホロア」

[メイン] 各務 チヒロ : 「満足した?」

[メイン] マホロア : 「……」

[メイン] マホロア : その言葉に少し沈黙を返し

[メイン] マホロア : 「………あんなコトやったノニ、コレでオワラセるつもりカイ?」
話を反らすようにして、続ける。

[メイン] マホロア : 「…………そんなコトやってると、またいつかダマサレるヨ」

[メイン] 緑へも : その言葉に、ちらりとチヒロへと視線を送る。

[メイン] 各務 チヒロ : 「騙されるなら」

[メイン] 各務 チヒロ : 「またこうするよ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それの繰り返しでもいい、引き合う限り」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私は私の『納得』を信じているから」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…たとえアンタが支配を夢見る邪悪でも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それは、消して砕けぬ事はない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それが、この世界を奇妙なほど包み込む『運命』だから」

[メイン] マホロア : 「……理解ができないヨ」

[メイン] マホロア : 「キミがナゼ、そんな曖昧な理由で、そこまでするノカ。」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…さあ、わからない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「でも、曖昧な中にしか答えを探す事はできない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「手探りでも、藻搔いてでも」

[メイン] 各務 チヒロ : 「私はいつだって『運命』の中に解を探す」

[メイン] 各務 チヒロ :
ヴェリタス
「私は真理の各務チヒロである限り」

[メイン] 各務 チヒロ : 軽く、見上げる

[メイン] 各務 チヒロ : 空を覆い尽くした太陽が、消えて

[メイン] 各務 チヒロ : 空の中に

[メイン] 各務 チヒロ : 「……"星"が見えた」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…うん、そうだ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「無限の闇の中にだって、いつでも星は潰えない」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それが、私の『解』なんだよ、マホロア」

[メイン] マホロア : 「………そっか」

[メイン] マホロア : 「キミのコトはいままでずっとバカにしてたけドネ」

[メイン] マホロア : 「………イチバンのバカは」

[メイン] マホロア : 「そんなキミをシハイできるとオモイコンデタ」

[メイン] マホロア : 「ボクなのかも、ネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふふ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「なら、できる形から始め直そう」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それは、許されるはずだよ」

[メイン] 緑へも : 「んふふふ…」
同じように、なんだか笑いながら。

[メイン] 各務 チヒロ : 「……帰ろう、星は落ちなくても」

[メイン] 各務 チヒロ : 「もう夜は明ける」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…全部終わって、朝が来る」

[メイン] 緑へも : 「…ええ、みんな一緒に…ですね!」

[メイン] 緑へも : 右手はチヒロにつないで

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふふ」
握り返しつつ

[メイン] 緑へも : 左手は、マホロアへと

[メイン] 緑へも : 握り返されて、笑みをこぼしつつ。

[メイン] マホロア : 力を求めた理由、
自分にとってのそれは、ただ欲しいものがあるから、
邪魔があるから、それを退かすために必要だったから。

[メイン] マホロア : ……自分の思い通りにならない事がムカついたから。

[メイン] マホロア : 目の前の少女たちは、存在してることそのものが、自分が力を求める理由足りうる。
気にくわない、腹が立つ、何もかも、何もかも。

[メイン] マホロア : だからこの手は、この手だけは……

[メイン] マホロア : …………………

[メイン] マホロア : 「…………………」

[メイン] マホロア : 「……ボクさァ」

[メイン] マホロア : 「ボロボロで、ウゴケないんだよネ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…うん」

[メイン] 各務 チヒロ : 「…ふふ」

[メイン] 各務 チヒロ : 「それじゃあこうしよう」

[メイン] 緑へも : 「…ありゃ」

[メイン] 各務 チヒロ : へもに片手を任せて

[メイン] 各務 チヒロ : もう片手を、取る

[メイン] 緑へも : その手を、しっかりと握る。

[メイン] 各務 チヒロ : 「…これで帰れる、さ」

[メイン] マホロア : 「………………」

[メイン] 緑へも : ─────『小指で結ばれた赤い糸が切れないように』

[メイン] 緑へも : 「迷子にだって、なりませんよ!」

[メイン] マホロア : ………今言った事は嘘。
自分で立って歩けるくらいの事はできる。

[メイン] マホロア : そんな事にも気づかないのか、それとも気づいた上でやってるのか。

[メイン] マホロア : どっちにしろ、バカ過ぎて笑っちゃうネェ。

[メイン] マホロア : こんな手、振り切ろうと思えば振り切れるのに。

[メイン] マホロア : 「…………」

[メイン] マホロア : そのまま無抵抗に、両手を引かれる。

[メイン] 各務 チヒロ : ある男が、DISCを通して私に問うた

[メイン] 各務 チヒロ : 私は、『引力』を信じるか

[メイン] 各務 チヒロ : 答えは、YES

[メイン] 各務 チヒロ : 私は、それを信じようと決めた

[メイン] 各務 チヒロ : そして、だがもう一つ問いが生まれた

[メイン] 各務 チヒロ : 『引力』とは?

[メイン] 各務 チヒロ : そうだな、ここは…

[メイン] 各務 チヒロ : 私を最後まで信じてくれた友の言葉を借りたいと思う

[メイン] 各務 チヒロ : その『解』は──

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :
ラブ
引力、即ち愛!!

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ : なんてね?

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] 各務 チヒロ :  

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 『矢』は、拾った。
『矢』というより、それだったものは。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : ……拾った時の場所は、何処か大きく荒れていて。
まるで火事場泥棒でもしている気分だった。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……でも、これで任務は完了かな」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 太陽が焦がしたその場から離れ、この街からもまた、離れていく。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 「……帰ったら仕事は山積みか」

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : 帰った後を想像して、少し頭を抱えて。
登り行く本物の朝日の中、僕はその街から歩いて行った。

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ : ジョジョの奇妙な冒険 第5部
【ゴールデン・テーブル】 完

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :

[メイン] ジョルノ・ジョバァーナ :